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6-8

ファランの名前を確認したジュンたちは、その場を一旦離れることにした。


ファランについては、クルールからその実力を聞いている。クルールにとっては苦戦する相手ではなかったものの、果たして自分たちに彼を相手にするだけの力があるのか――。


「無茶よ! 彼を相手にするなんて!」

ウェンディは、既に諦めたような声を上げた。

ファランからカードキーを奪うには、戦って勝つしかない。しかし、相手はレベル7。レベル3や4の探検隊メンバーでは、まともに挑んでもまず勝ち目はない。

勝つのが無理なら、せめてカードキーだけでも奪って逃げる――そう考えたものの、ファランは素早さを得意とする敵だ。その隙を突くこと自体、ほぼ不可能だろう。状況は絶望的だった。


「ここで諦めるわけにはいかないわ」

ルイーザがきっぱりと告げた。「今この場を切り抜けるには、彼をどうにかしない限り何も変わらない」


「そうは言うけど、ルイーザ、何か策があるの?」

ウェンディは困惑した様子で問い返した。


「策はないわ」

「じゃあ無理じゃない!」


それでもルイーザは落ち着いた声で言葉を続けた。

「確かに、状況は絶望的よ。でも、何もしないで座して待つくらいなら、私は行動する選択肢を選ぶわ」


「どうして……?」

ウェンディが思わず問うと、ルイーザの目が強い決意を込めて輝いた。


「私には夢があるからよ。始まりの異界に行きたいっていう夢が。それをこんなところで諦めたくないの。特に、可能性が残っているのに行動せずに諦めるなんて絶対に嫌!」

その声には確信があった。

「戦う力が私たちにはある。それさえあれば、ゼロをゼロじゃない数字に変えることができるのよ。ゼロじゃない限り、私は行動を選ぶわ!」


「ゼロをゼロじゃない数字に変える……」

ウェンディはその言葉に心を動かされ、ふと自分の過去を思い出した。それは、医療の道を志したときのことだった――「一人でも多くの命を救いたい」という思いを胸に旅を続け、様々な医学を学んだ日々。

そうだ、自分にも叶えたい夢がある。医者として、人々を助けるために。ここで立ち止まるわけにはいかない。自分にはまだ戦う力がある。それを活かさずに終わるなんて、絶対に嫌だ――。


「あなた、不思議な人ね」

ウェンディは微笑みながら言った。「私にも夢があるわ。医療を通して多くの人を助けること。それを叶えるためには、まずこの場を乗り越えないといけないわね」


「ウェンディ……!」

「ありがとう、ルイーザ。初心を思い出させてくれて」


ジュンはそのやり取りを見ながら静かに頷いた。

「どうやら、僕たちが進むべき方向が決まったみたいだね」


「ええ」

ウェンディが決意を込めた声で続ける。

「私たちはファランに戦いを挑む。そして、勝ってこの場を乗り切るのよ!」


3人は、その場を後にし、ファランがいる建物へ向かった。

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