6-7
ケンは既に傷だらけだった。後ろを見ると、見知った顔が何人かいる。それはジュンが通っていた高校の同級生や後輩たちだった。
よく見ると、彼らもまたケンと同じく傷だらけだ。そして、ケンが口を開いた。
「あまり俺らを甘く見るなよ」
ジュンは思わず声を上げた。
「みんな、無事だったんだ!」
「俺らの母校、運動部が多かっただろ。それに、この奴隷生活で少しは鍛えられたんだよ」
ファランは冷笑しながら上から見下ろした。
「ふん、だからどうした?お前たちに戦う力が多少あったところで、この状況を覆せると思うのか?」
目の前のモンスターたちはさっきよりもさらに手強そうだ。しかし、この状況を乗り越えてここまで来た彼らなら、きっと勝算はあるはずだ。囚人たちは一人また一人と戦う覚悟を決めていく。
ファランの合図で、モンスターの集団が囚人たちへ襲いかかった。戦う者、守る者、それぞれが自分にできることを見つけ、懸命に戦う。囚人たちの「生き延びたい」という気迫が場を満たし、次々とモンスターを倒していく。その光景に、ファランも一瞬驚きを見せた。
「ほう…なかなかやるものだな」
ケンはすぐに声を張り上げる。
「みんな、敵のボスはあそこだ!あいつを倒すぞ!」
高校時代からリーダー格だったケンは、仲間をまとめ上げ、戦いに挑む。ジュンはそんな彼の行動力に心底感心した。
「おっと、感心してる場合じゃないな。僕らもやるべきことをやらないと」
いくらケンたちが奮戦しているとはいえ、相手はファランだ。彼らだけで倒せるとは限らない。彼らを無駄死にさせるわけにはいかない。
ジュンたちは決断する。この混乱に乗じて街を囲う壁の門を開け、外で待機している騎士団を街の中に呼び込むことだ。団長セトの力があれば、ファランを倒すことができるはず。
「舟堀の街と同じように、四方向に門があるなら、南下すればきっと…」
「ジュン、あれじゃない?」
3人の目の前に門が現れる。後は、この門を開ければ外から騎士団を呼び込むことができる。
「で、どうやって開けるの、これ?」
門には門番がいない。かんぬきも見当たらない。ジュンは周囲を調べた。いくら無人とはいえ、非常時に開ける仕組みくらいはあるはずだ。しかし、門を開けるボタンも見つからない。ふと目に入ったのは、カードキーを差し込む装置。
「これで開ける仕組みかもしれない。でも、カードキーが必要だな…」
「最悪ね。どうしてこういう所だけ無駄にハイテクなのかしら。門自体は大した作りじゃないのに」
「とにかく、カードキーを持っている奴を探そう」
周囲をさらに調べていると、ウェンディが1冊のノートを見つけた。
「これ、門を管理する人の一覧みたい」
ページをめくると、見覚えのない名前ばかりだ。だが、管理責任者の欄にある名前を見て、ウェンディは驚きの声を上げた。
「…ここにファランの名前が載ってるわ」
「えっ!?」
最悪の事態だ。この門を開けるには、ファランを倒さなければならないらしい。ジュンは頭を抱えた。
「くそ…これだけは避けたかったのに…」




