表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【20章】目指すは始まりの異界!探検隊ルイーザと不思議な物語  作者: 旅立 マス
5章番外編 きっかけは何でもいい
66/203

4

ギルド長が誘拐され、さらに舟堀の街が何者かに占拠されるという大事件が発生した。この事態はリフィリア王国にとっても重大な問題だった。国の考えとしては、ギルド長を誘拐した目的は、国の重要な情報を聞き出すことではないかと推測されている。


一方、舟堀の街は封鎖され、外から入ることもできないように見張りが配置されていた。軍勢を送り込むことも可能ではあるが、下手に相手を刺激すれば中の住民たちが危険にさらされる可能性が高い。国全体が緊張感に包まれていた。


そんな中、事態を解決したのはたった3人の人物だった。彼らは命がけの行動で街の占拠者を退けたという。3人のうち、大柄な男性が意識を失った2人の男女を抱えて現れた。その2人は、街での戦いで重傷を負い、意識不明の状態だった。早急に手当てをしなければ命が危ない状況だった。


運ばれてきた男性の顔に、ヒロは見覚えがあった。


「ジュン!」


「ん?ヒロ、知り合いか?」


「うん、彼は僕と同じ異界出身だ。子どもの頃からの腐れ縁だけど、まさかこんな形で再会するなんて……」


舟堀の街で一体何が起こったのか。ジュンが深い傷を負い、さらに意識不明という状況から察するに、相当激しい戦闘が繰り広げられたのだろう。ヒロはただ、彼の無事を祈ることしかできなかった。


一方、2人を運んできた大柄な男はセト隊長のもとへ向かった。彼の名前はクルールで、この国で2番目の実力者として知られている人物だった。クルールによれば、舟堀の街には水江の駅の地下道から侵入したという。そこから何日もかけて一本道を進み、街に到達したとのことだった。どうやら水江の街はこの世界で遠隔地に位置しているらしい。


数日後、意識を失っていたジュンともう一人の女性が回復した。彼らの治療を担当したのはウェンディという医者で、若いながらも非常に優れた腕を持っている。2人はその功績を称えられ、リフィリア王国の英雄として勲章を授与された。


その後、ヒロは2人のもとを訪れた。


「よう!」


「ヒロ!ヒロじゃないか!無事だったんだな!」


再会を喜ぶジュンとヒロは、力強く握手を交わした。


「それ、僕のセリフだよ。知り合いにやっと会えたと思ったら、まさかこんな形で再会するとはね……」


「まさかヒロもこの世界にいるとは思わなかったよ!」


「そっちこそ、驚いたよ。でもさ、今の君、英雄扱いなんじゃない?」


「はは、まぁ、そんな感じだな」


「そういえば、そちらは?」


「ああ、紹介するよ。彼女はルイーザ。僕の旅の相棒だ」


「こんにちは、ヒロくん」


ルイーザと名乗る女性は柔らかな笑顔で挨拶した。


話を聞くと、ジュンとルイーザは冒険家として旅をしているらしい。その旅の理由は、ジュンに生き方を教えてくれた師匠が志半ばで行方不明になったためだった。彼はその師匠の意志を継ぎ、旅を続けているという。


「ルイーザとは同じ目的を持っていたから、探検隊を組んで一緒に旅することになったんだ」


「なるほど、そういうことだったんだね。ジュンの行動力にはいつも感心させられるよ」


「まあ、お前に褒められるのも悪くないな!」


2人の絆が見える会話に、ヒロは微笑んだ。2人はしばらくこの街に滞在するらしい。それはヒロにとっても、旧友との再会を楽しむ貴重な時間となりそうだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ