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一方、リフィリア王国内部では新たな動きが報告されていた。
舟堀の街を占拠し、ジュンとルイーザを大怪我させたローデン一味が再びリフィリア王国の脅威となっている。舟堀タワーで破壊されたレーザー砲が、今度は別の場所から放たれる可能性があるというのだ。
問題は、その発射地点が特定できないこと。無闇に攻撃すれば周囲を刺激し、取り返しのつかない事態を招く恐れもある。そんな中、異界探索のため派遣されたギルドと戦士団の調査団から、有力な情報がもたらされた。ローデン一味が「鶴小島」の街を占拠しているというのだ。
「鶴小島」という地名を聞き、ヒロは息を呑んだ。もしあの時、高校の集まりに参加していたら、自分もその街に取り残され、占拠に巻き込まれていたかもしれない――。
それ以上に胸をよぎったのは、友人たちの安否だった。集まりに参加していたはずのケンや他の仲間たちは、今どうしているのだろう。居ても立ってもいられなくなったヒロは、セト隊長に懇願する。
「隊長!僕を鶴小島に行かせてください!あそこには母校もあるし、もしかしたら友達も巻き込まれているかもしれないんです。放っておけないんです!」
セトは腕を組み、しばらく考え込んだ。ヒロは騎士団に入って日が浅く、レベルもまだ3。前線に立たせるのは危険すぎる。実際、これまで鶴小島に派遣した調査団員は誰一人戻ってきていないのだ。しかし、このままヒロを引き止めても、いずれ独断で向かうに違いない。それならば後方支援という形で、彼の土地勘を活かすのも悪くない。
「分かった。ただし、後方支援だ。それ以上の無茶は許さんぞ」
「ありがとうございます!」
こうしてヒロは、鶴小島奪還作戦に参加することになった。しかし、彼を含む部隊全員が、この作戦に潜む罠に気づいていなかった。
二日ほどイーストキャッスル平原を進むと、鶴小島の街が見えてきた。かつての平和な街の面影はなく、高い壁に囲まれ、厳重に警備されている。ローデン一味がここに潜伏しているのは明白だった。
問題は、この壁をどう突破するか。ヒロは街の中の道案内を買って出たものの、まず侵入する手段を見つけなければならない。
すると、一人の兵士が言った。
「セト隊長から特別な武器を預かっています」
彼が取り出したのは煙玉だった。これを使えば敵の注意を逸らし、その隙に奇襲をかけられる。部隊の隊長が感心したようにうなずく。
「さすが隊長、先を読んで準備してくれたか」
「いえいえ、これはこう使うんです」
そう言うと、兵士は煙玉に火をつけた。
「な、何を――!?」
次の瞬間、辺り一面に煙が立ち込める。だが、それはただの煙ではなかった。
「眠り玉だ!」
煙には眠気を誘う成分が含まれており、瞬く間に部隊全員を襲った。
「くっ…まさか…内部にスパイが…」
ヒロは歯を食いしばり、意識を保とうとした。ギルドや騎士団から帰還者がいない理由が、ようやく明らかになる――しかし、それに気づいたのは一瞬だった。眠気は容赦なく彼の体を支配し、ヒロは崩れるように倒れた。
最後に脳裏をよぎったのは、街に閉じ込められている人々のことだった。
「こんなところで終わるなんて…いや、まだ…」
意識が闇に落ちる中、ヒロは自分に言い聞かせた。戦いはまだ、これからだ――。




