嫌いな作業
ハウスは
鉄の骨組みに
人力でいろいろ付けていかないと
ビニールハウスにはなりません。
長いビニールを広げたら側面に留め付けます。
(ビョンビョンと長い、凹凸凹凸凹凸が続く…針金みたいなもので留めます。ビヨーンと跳ねるので、目に当たらないように注意です)
黒色のひら長いマイカー線という紐で固定もします。
(いつも大勢の助っ人の方々が朝早くから紐を結んでくれます。ハウスの屋根、ドーム状に貼ったビニールを、風が吹いても大きく動かないようにしているんだと思います。多分)
横にも中にも
ビニールや寒冷紗、厚めの内幕なども貼ります。
(ハウスのパーツに合わせて、留めるパーツも変えながら、暑さにも寒さにも虫にも対応できるように、ありとあらゆる所に色々貼っていきます)
加温機は煙突をつけたり、ダクトを付けます。
(温風をハウスの端まで送れるように、ビニール状の温風の通り道を作ります。地面を這わせたり、側面や天井に吊り下げたりします)
消毒作業や水やりに必要な物を設置します。
(大きなオケや、モーターを入れたり、配管を繋げたりします)
ホッチキス
(意外と使います。腕を上げてビニールを留め合わせたり、しゃがみ込んでマルチを留め合わせたりします。どちらも体勢が辛いので、筋トレしながら事務作業している感じです。ホッチキスを打つ数は、事務員さん顔負けだと思います)
他にもあるんです。
いろいろあるんです。
書き切れないくらい
いっろいろあるんです。
その色々を
何日にもかけてこなしていくと、
ただの骨組みだったハウスは
ビニールハウスになります。
ぱちぱちぱち
素晴らしい。
そして…
組み立てたものは
栽培が終わったら
全て
片付けないといけません。
暑いですけれど
文句は言いません。
コレもお仕事です。
大汗をかきながらも
黙々と根気よくお片付けできます。
でも
娘にも一つだけ
嫌いな作業があります。
「紐〜外してくれ〜」
きました。
コレです。
コレが本当に大嫌いです。
きゅうりの苗の本数分、
上に通っているワイヤーから吊り下がっていた
グレーのビニール紐。
コレを一本一本
外していくんです。
土まみれになりながら配管をあげるのは平気です。
何十メートルもの長いビニールを汚れながら
引っ張り降ろしてまとめるのも平気です。
硬いパーツを外すのも平気です。
でも
この紐を外す作業だけは
拒否反応が出るんです。
ちまちまちまちま…
暑い中一歩一歩ゆっくり進んで
腕を上げて紐を外し
手元で綺麗に揃えて
最後は使いやすいように
まとめて縛る
「もぅ……この作業が1番苦手!!!」
両親の前で嫌いとは言いません。
言わないのは、なんとなくです。
でも娘は
この作業が1番嫌いです。
大きく動かなくていいから楽そうですが、
どっちかというと動きたいです。
軽くて簡単ですが、
重くて大変なほうがまだマシです。
とてもとても暑い中
ほぼ体を動かさずに
細かな作業をしていく状態が
本当に
本当に…ツラいんです。
そういえば…
小学生の時に
校庭の小さな石を
バケツいっぱい集めましたね…
裸足でも走れるように
ちまちまちまちま
小石を
延々と…
アレも辛かった
小石拾いと、紐外し
嫌だと感じる部分が
少し似ているかもしれません。
暑い中じっとしているのは
娘にとってはストレスなのでしょう。
どうせ暑いなら
動いてしまいたい。
そう思いながら
ハウスの中でちまちま作業しています。
たまに上手く外れない紐が
娘のイヤイヤゲージを増長させますが…
頑張ります。
コレもお仕事です。
ファイトだ娘。
負けるな娘。
紐を外すだけの簡単な作業だ。
外していけばいつかは終わる。
外さなければ終わらないんだ。
イライラしても
ゆっくり息を吐いて
とりあえず全部外すんだ!
終わったら…
今日のご褒美はアイスにしましょう。
ちょっとだけ
やる気が出ました。
嘘です。
嘘をつきました。
本当は
わーーーーーっと叫んで
ハウスの外へ行ってしまいたいです。
後でのアイスなんて
なんの慰めにもなりません。
今すぐ
口へ放り込んで欲しいです。
「…………アイス…」
限界を迎えた娘は
動けそうな兄弟へ電話をしていました。
アイスを買ってきて欲しい
できるなら今すぐ…
10分後
アイスをくわえて
とても機嫌の良くなった娘は
紐をまた外しています。
ちょうど天気も曇ってくれて
喜び倍増ですね。
「おいしい」
娘の腹の虫も治りました。
なんて単純なのでしょう。
お腹が空いていただけだったのかも…しれません。




