オオスズメバチ
庭の植木に
オオスズメバチがいるそうです。
「でぇっかいぞ〜」
父の目が輝いています。
動かないでジッとしている
そう聞いたので
娘も見に行きました。
います。
めちゃくちゃ大きいです。
「いた。大きい。女王バチかな?」
素直な感想を父に伝えると
「調べてくれ〜」
と、スイッチが入ってしまいました。
女王バチかも
という娘の言葉が良くなかったんです。
荷詰めをしながら
「測ってみようか〜…メジャー伸ばして〜…」
と、ブツブツ言っています。
うそ…っ
測るつもり?
大人しいからって?
あのでっかいオオスズメバチに?
メジャーを近づけるの?
娘は荷詰めを続けながら
軽く恐怖を感じています。
刺されたら
どーするの?!
父は、
まだメジャーを探しに行っていません。
何も言わずに荷詰めを続けています。
うん。
そのまま忘れてしまえば良いのではないでしょうか。
娘はもうオオスズメバチの話題には触れず、
父が忘れてくれることを願っていました。
そしてそのまま
昼ご飯の時間になります。
「ふ〜っ」っといつも通りの動作で、
手袋を外して作業場を出る父。
あぁ
ダメです
向かう方向が家じゃないです
嫌な予感しかしない…
ザリッ ザリッと
戻ってきた父の手には
伸ばされたメジャーが…
「本当に測るの?!」
堪らず声が出ました。
「え〜?測るよ〜?それで?
女王バチのサイズ調べたか?」
呑気すぎる!
「調べてないよ!」
もう忘れてくれてたら良いな、って
思ってましたよ。
「調べてないのか〜。んじゃ〜、
測ってくるから調べてといて〜」
ザリッ ザリッと
オオスズメバチの方へ行ってしまった父。
止める間もありません。
ああ…
叫び声が聞こえたら
蜂のスプレーを取りに行かないと…
その後に救急車かな…
作業場で耳を澄ます娘。
そんな娘の心配を他所に
ザリッ ザリッっと
普通に帰って来ました。
「5センチ〜。はい、調べて〜」
ハラハラさせられたので、
無言で見てやります。
そんな視線には気付かず、
ワクワクしながら待っているので調べますけど、
心配したことを感じていただきたい。
ピコピコ ピコピコ
スマホに打ち込みます。
「……あ。ずんぐりな体型に、
5センチあったら女王バチの可能性が高い…ってさ」
「そうか〜。じゃあ女王バチかな〜?
触覚がぴこぴこしててな〜、可愛いぞ?
喋れたら、なんて言ってるか話してみたいな〜」
「…確かに、喋ってはみたいね」
ご機嫌な父に振り回された感じですが
オオスズメバチと話したいなんて…
考えたこともありませんでした。
時々、子どもみたいな事を言う父。
嫌いではありません。
オオスズメバチは
翌日にはいなくなっていました。
飛んでいってくれて良かった。
オオスズメバチさん。
山で巣作りをお願いします。
「父〜。柿の木にね、枝に擬態した蛹がいたよ?」
「言わんとってくれ!!探したい!」
時々、
幼い少年のようなスイッチの入る父です。




