ツバメファースト
物心ついた頃から
ツバメは家族でした。
鳴き声で上を見上げ
空を舞う姿に帰還を喜び
巣作りを見守って
親鳥の前でだけ鳴く雛の口に笑い
大きくなった雛が巣から溢れそうな光景を見て
空っぽになった巣を寂しく思う
そして、空を飛ぶ沢山のツバメの中に
うちの子がいるのだと嬉しくなるのです。
そのツバメの巣を
3回も襲撃された去年は
もう…
お通夜状態でした。
多分テンです。
可愛いやつですが
やはり獣系統。
巣がボロボロになっていたこの時ばかりは、
父も娘も
仕事が出来なくなるくらいのショックを受けました。
きゅうりの荷詰め中にため息を吐き
巣を見上げてはため息を吐き
落ちていた羽を見つけてはため息を吐き…
あんな悲しい思いは二度とごめんです。
「父。今年はどうにかしよう!」
「そうやな!あそこを塞ぐか〜」
母に
「2人はこの忙しいのに何をしてるの?!」
と、言われようが聞きません。
これは、
どうしても、
やらなければならないのです。
今年帰ってくるツバメはいないかもしれませんが、
安心して巣を作れるように
先回りして図画工作に励みます。
「あとはあそこの足場になりそうなところを塞ぎたいね」
「プラダン買ってくるか〜」
ある程度形になったので
作業の手を止めた父と娘。
ピチクリパチクリパチパチジィージィー
「「!?」」
「ツバメ?!」
「どこ?!」
遠いですが、鳴き声が聞こえた気がしました。
多分ツバメです。
ソワソワと騒つく父と娘。
「今年はライトも点けるぞ」
父が燃えています。
「今度プラダン買ってくるね」
娘も燃えています。
しばらくソワソワと空を見上げる日々が続きます。
お願い…帰ってきて〜!




