地上の星
『中島みゆき』さんの曲を
最近、荷詰めの時によく流します。
父のリクエストです。
作業中のBGMを娘のアプリで流すようになって、
父と母の好きな曲を流していたら
『平均54歳』
と、アプリのまとめで出てきて…
「なんで?!」となったことを思い出します。
単調な作業には
モチベーションを上げるものも必要なので
父と母の好きな曲を流すのは全然いいのですが…
娘の音楽まとめリストに、
時々2人の歌が混入してくるので
複雑な心境になります。
そんな中、
父がふと思い出したように
「俺は地上の星を見たことがあるぞ」
と言い始めました。
「…うん?」
荷詰めの手を止めて顔を上げると、
おでこに挙げた両手で
四角い形を作っている父。
「ちょ〜っと早くに目が覚めたから〜、あの〜、ライトライト、ヘッドライトつけてね〜、田んぼ見に行った。そしたら、田んぼ一面がキラキラ星みたいに光っててね〜、さて、一体何が光っていたでしょ〜か」
急に始まりました。
父クイズです。
大体ニヤニヤしています。
娘が当てられない時や、間違ったとき、
とても嬉しそうにするんです。
でも
娘はクイズ好きです。
当ててやろうと、いつも真剣に考えます。
「田んぼでキラキラ?ヘッドライトの光で光ってたってことよね?」
「そう〜」
田んぼでキラキラ〜?
だめだ、露しか思いつかない。
でも違う気がする。
でも思いつかない…。
「露?」
「ぶっぶーーーー」
あぁー。
嬉しそうですねー。
「答え聞く〜?」
「……聞く」
考えたいですが、
お腹が空いているので頭が回りません。
「答えは〜、蜘蛛でした〜。土蜘蛛ね〜」
「蜘蛛?!」
「そう〜、い〜っぱいおったぞ〜。こう〜ヘッドライトが当たったら、赤色に光ってな〜綺麗やったぞ?」
どんな光景だったのか…
頭の中で想像していた娘に
父からの追加情報が入ってきます。
「遠くの方までぶわ〜っと居たぞ?すごかった。あんなに居るもんか〜。明け方3時は土蜘蛛の時間か〜」
「朝の3時?!早すぎる…でも少し見てみたい」
「あの時間じゃないと、見れないな〜」
「……3時かぁ」
「あれが、地上の星〜」
めちゃくちゃご機嫌です。
中島みゆきさんの曲も流れているので
荷詰めが捗っています。
「地上の星に、曲変えようか?」
「ん〜?それはしなくていい。この曲が好き」
父にも好みの曲があるようです。
土蜘蛛と父の、ちょっとしたコラボレーション。
土蜘蛛は急にライトを照らされて
さぞ眩しかったでしょうね。
土蜘蛛の位置から
ヘッドライトを頭につけた父を見たら、
「なんだあいつっ!」って見ちゃうだろうなぁ。
だから土蜘蛛の目が、全部父に向いていたのかも…。
3時は…早すぎます。
せめて4時にしてあげてください。
でも、
地上の星は
農家さんとして生きている父への
ご褒美にも思えます。




