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じゅんけいさん。  作者: ジョウビタキ子


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秤の出番


きゅうりの実の収穫には

『きゅうりカッター』を使います。


小さなカッターの刃が付いている指輪のような道具で、

親指にスポッとはめて使います。


親指以外の指できゅうりを支えて

親指に付けているカッターを茎に押し付けると

片手で簡単に収穫できます。


思った以上に気持ちよく切れます。



収穫作業をお願いされた時、

娘は張り切っていました。


やってみたかったんです。


いつも荷詰めをしているので

きゅうりの大きさは、なんとなく分かっています。



「100g以上のきゅうりを採ってよ〜?

 この秤で時々測ってみて〜、大きさ調べて〜」



父はゴソゴソと秤を持ってきます。


この秤で自分の収穫したきゅうりが

出荷できるサイズなのか確認してほしいようですね。



うん。

めんどくさいな。



娘はこういう確認を、

すっ飛ばしてしまいたいタイプです。

家電製品も使いこなせそうなら説明書は読みません。

分からなくなって初めて開くんです。

でも、読まずに後悔したこともあるので、

最近はちゃんと読むようにしています。



でも、収穫はできそうだし、

秤は使わないだろうな。



そう思い、張り切って収穫へ向かいました。





10分後。





あの自信はどこへやら。

娘は今、秤の前にいます。


荷詰めの作業で見ていたきゅうりを

収穫すれば良いだけなのに、

収穫した後に手に収まったきゅうりを見ると、

このきゅうりの大きさは合っているのか

分からなくなるんです。


つるにぶら下がっている時は大きく見えたきゅうりも、

収穫してみると小さく見えます。



舐めていました。



もっとスイスイ、サクサク

収穫作業は出来るものだと思っていたんです。



もう…、

自分が持っているきゅうりが合っているのか

分からないっ!!



普通のきゅうりとは

いつものきゅうりとは

どんな大きさだったでしょう…。



訳のわからなくなった娘は、

秤で測った100gくらいのきゅうりを手に持ったまま、

そのきゅうりを見本にして収穫しました。



はい。

見本のきゅうりは見本にされすぎてくったくたです。

張りもなければ艶もない、

かわいそうなきゅうりになっています。


とても効率が悪く、

とても時間がかかりました。


簡単だと思っていた数時間前の自分に、

現実を教えにいってあげたいです。



父や母が荷詰めする私に、


「きゅうりの大きさどう?」

「大きすぎる?小さいか?」

「ダメだ、目が狂ってきた」

「明日はきゅうりが残ってるかもしれないな」

「小さすぎた。Sで荷詰めしておいて」


そう確認してきていた意味がやっと分かりました。








収穫作業は、慣れるまでとても難しい。


慣れていても、難しい。



「あのほらー、手の感覚で覚えるのよー。持ったらズシってなるからねー」



母から感覚アドバイスが飛んできました。



「100gが…ズシッ?」



たかが100g、されど100g…。


100gにこんなに悩む日が来るとは思っていませんでした。



「そればっかりは慣れだねー!」



隣のハウスのおじさんもケラケラ笑っています。







もう…あたたかく見ていてください。

そのうちできるようになりますから。




多分。


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