炊飯器にありがとう
毎日顔を合わせていると
ちょっとしたことで言い合いになることもあります。
まさに今ですね。
昼食中、父と母が
小さな火花を飛ばしあっています。
娘は大体どちらにもつきません。
放置です。
無言でご飯を食べて、
無言でテレビを見て、
無言でスマホを触って、
耳だけ2人の会話に傾けます。
最初は大体ちょっとした内容なんです。
でもそこからどちらかが引かないと、
小さな火花は大きな花火になります。
あ、声のボリュームが上がりました。
「そのご飯を、毎日同じ時間に食べれているのは、誰のおかげでしょうねー?やってみてごらんー?時間考えて用意するのは大変なのよー!」
そうですね。
その通りです。
いつも本当にありがとうございます。
「は〜いはいはい。
あ〜りがとう。ありがとう〜ございます〜」
おぉ。
今回は父が引きましたね。
良い判断です。
「母、父がありがとう言っているよ?」
「そうでしょー!毎日毎日本当に…」
「違うぞ〜?俺は炊飯器にありがとうって言ったぞ〜?」
はい?
「炊飯器さん毎日ありがとう〜」
父ーーーーっ!!!
それはマズイ!
それは色々マズイです!
なんなら娘も敵に回す一言です!!
あわわわわわわわっ。
母が口をあんぐり開けたまま固まってます!
「じゃあー!私はトラクターと耕運機とコンバインにありがとう言うわー!」
母ーーーーっ!!?
え?
大げんかするんですか?
まだこれから数ヶ月仕事続きますけど、
今けんかしちゃうんですか?
「本当にいつもいつもありがとうトラクターさん!」
「トラクターは燃料と乗る人がいないと動きません〜」
「炊飯器も
お米研いでスイッチ押す人がいないと動きませんー!」
「……っぷは」
最初こそ少しハラハラしましたが、
途中からコントにしか見えなくなっていた娘。
もう笑いが口から飛び出してしまいました。
「はは、はぁ〜、どっちもどっちね〜」
ぼそっと心の声が口から漏れた娘です。
2人ともまだ何か言いたそうでしたが、
もうどうでも良くなったんでしょうね。
火花の飛ばし合いは終わり、
会話はテレビの内容へ。
はぁ。
こんな日もあります。




