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じゅんけいさん。  作者: ジョウビタキ子


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MT車 2


MT車をほぼ運転しなくなって数年。



やって参りました田植えの時期です。



父は田植え機。

母は苗を積んだMT車。

娘は苗と肥料を積んだMT車。



「MT車〜……」



娘は不安のどん底にいました。


そう。

MT車を運転をしなければなりません。

他に運転する人は居ないからです。

MT車2台は必要なんです。



「あ〜…無事に走れるのか…」



ブルーになっている娘を見兼ねて

父が言います。


「ぐるっと一周走って来い!」


職人モードの父です。

仕事が絡むと口調がキツくなります。


「そうする…」


観念して乗り込みました。



よし、行こう。

ブレーキを踏み込んで、キーを回します。



シーーーーーーン…



あ、壊れたね。



エンジンがかかりません。

娘が乗ったから壊れました。



「父ー!エンジンがかからないー!」



乗らなくていい。

そんなアホな考えで父を呼ぶと、



「アホか!クラッチ踏まんとエンジンはかからない!」



一喝されました。

そして

素で忘れていました。

クラッチも踏まないと

エンジンがかからない事を…。



重症だ。

大丈夫なのか?

いやいや…

事故だけはしてはいけない。

本番までに勘を取り戻さなければ。



もう。

真剣に家の周りをぐるぐると運転しました。

人様に迷惑をかける事だけはできないので。



リハビリのおかげで

だいぶマシになりました。

坂道発進を必要とする道もないので、

とりあえず田植えへ向かいます。



この日は大きなトラブルもなく

順調に田植えを進めることができたので

後は帰るだけです。



やっと帰れる。

もう少しで解放される。



広い道の端に停めていたMT車に乗り込み

Uターンして本道に出ようと発車しました。



すると、向こうからおじいさんが運転する乗用車が。



Uターン中だったので

モタモタしていたらお邪魔になります。



止まって待ってくれているので

急いでハンドルを切って

車の向きを整え

ぺこりと頭を下げて行こうとしました。



ところが



(ガタガタッガッタンガタ…ガタン!!)



ここに来て盛大にエンスト。



うわ!

やらかした!!



道を塞いでいないだけマシでしたが

待ってくれていたおじいさんに申し訳ない!



とりあえず

おじいさんの車の動きを見ようと

パッと顔を上げると…




おじいさん大爆笑!




え?

っと自分の目を疑うほどの大笑いをしながら

どうぞどうぞ先に行って、と

ジェスチャーするおじいさん。



つられて笑い返した娘でしたが…



恥ずかしかった。

めちゃくちゃ

恥ずかしかったです。



絶対帰ってネタにされてる。



田植えで体力ゼロになっていたところに

笑われて精神力もゼロになった娘。



全部…AT車になればいい!


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