♥ 領主邸 56 / 食堂 1 / 『 いいこと 』の代償 3
──*──*──*── 食堂
セロと一緒に食堂へ入ると既にゼルが着席していた。
領主と息子の姿がない。
何かあったのかな?
セロと並んで一緒に空いてる椅子を後ろに引くと着席した。
マオ
「 ゼル、早かったんだな。
待たせて御免な 」
ゼリンネル
「 全然待ってないよ。
僕もさっき来たばかりなんだ。
セロッタさんとマオを待たせてるんじゃないかって、逆にヒヤヒヤして来たんだ 」
マオ
「 そうなのか?
相変わらず楽しそうだな 」
ゼリンネル
「 うん(////)
長い間、苦しめられていた呪縛から解放された気分だからね!
毎日が楽しくて仕方無いんだ(////)
セロッタさんとマオのお蔭だよ 」
マオ
「 前よりもゼルが生き生きしてて、楽しそうでオレも嬉しいよ。
──ところでさ、何で領主と息子の姿がないんだ?
今迄2人が夕食に出なかった事なんてなかっただろ? 」
ゼリンネル
「 あぁ、其ね。
何でも隣の領主から援軍要請を受けたらしくて、急遽出陣する事になったらしいよ 」
マオ
「 援軍要請??
あるんだ? 」
ゼリンネル
「 あるみたいだね。
隣の領地で魔獣が大量発生して、自分達だけじゃ手に負えない状況らしいよ 」
マオ
「 魔獣の大量発生??
そんな事あるんだ? 」
ゼリンネル
「 うん…あるみたいだね。
困った時は御互い様ってヤツだよ 」
マオ
「 ふぅん…。
じゃあ、領主も息子も隣の領地へ加勢に行ったから居ないんだな 」
ゼリンネル
「 …………無事に戻って来てくれるといいんだけど… 」
マオ
「 ゼル?
……何か心配事でもあるのか? 」
セロフィート
「 魔獣の強さの違いではないです 」
マオ
「 魔獣の強さ??
魔獣の強さって違うのか? 」
ゼリンネル
「 うん…。
実は…領地に依って出現する魔獣の強さは異なるんだ。
マーナで倒せるのは変わらないんだけどね… 」
マオ
「 どゆこと?? 」
セロフィート
「 “ 魔気 ” 若しくは “ 穢気 ” と呼ばれている “ 負の障気 ” の濃度は違います。
濃度の違いに依って、魔獣の強さが変わります 」
マオ
「 そうなのか?
そんなの初めて聞いたんだけど! 」
セロフィート
「 誰も知りませんし… 」
ゼリンネル
「 魔気の濃度に違いが有るのは知りませんでした。
此処の領地に発生する魔気よりも隣の領地に発生する魔気の方が濃度が高いって事なんですね 」
セロフィート
「 大地から噴き出す負の障気が一定濃度を超えてしまうと、禍々しく真っ黒な靄へ変化し、徐々に魔獣と呼ばれる生物の形へ姿を変貌させるのは知られてますね 」
ゼリンネル
「 はい。
確かに知られています。
──王国領土の大地からは、魔気が噴き出しています。
だけど、魔気の濃度は低くて薄いので、空気に混ざる前に消えてしまいます。
通常の魔気は危険度が低い事も知られています。
一度…魔気の濃度が高まると…… 」
マオ
「 魔獣になる……。
魔獣になる前に濃度が高まるんだよな?
魔獣になった後も濃度が高まるって事なのか? 」
セロフィート
「 いいえ、濃度の低い魔獣は濃度の高い魔獣に吸収されます。
そうして魔獣は一定の濃度を保ちます。
其の中で稀に一定の濃度を超えた魔獣が現れます。
其の稀な魔獣が隣の領地に大量発生しているのでしょう 」
マオ
「 原因は魔気なのか? 」
セロフィート
「 少し違います。
問題は大地の下にあります 」
マオ
「 大地の下??
大地の下に何があるんだ? 」
セロフィート
「 簡単に言ってしまえば、負の障気はガスの一種です 」




