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かつての英雄達

 最終的にソラ達が人類の希望ではあったのだけれど、天使がはじめて現れてから100年近くたっているため、ソラよりも前にたくさんの英雄と呼ばれる人たちがいた。

 旧世界であれば、彼らは誰もが知る存在だったのだけれど、現代ではやっぱり覚えている人はいない。


「旧世界ではさ、たくさんの英雄って言われる人たちがいて、人々を救って、散りながらも歴史に名前を残してきたんだよね」

「彼らが居なかったら、すでに人類は滅んでいたかもしれないくらいな。

 例えそれが、掌の上だったとしても」

「掌の上だとしても、彼らの努力や功績はしっかり残っていたんだけどね。

 今の世界になって、彼らの存在がなかったことなって、彼らはどう思っているのかなって思わなくもないんだよね」


 その最たるものがソラだとは思うし、ソラ自身そこまで気にしている風ではないのだけれど。彼らの頑張りを、見ている事しかできなかったわたしとしては、せめて覚えていてほしい、知っていてほしいと思ってしまう。

 これがわたしのエゴだとは知っているけれど、どうにも気持ちに折り合いがつかない。


 返事を求めて、チラッとソラの様子をうかがうと、ソラは何か想いを馳せるように、遠くを見つめていた。

 一度だけわたしの方を見て、目があったかと思うと、また遠くに視線を移す。


「人として察せる範囲と、俺の経験の話になるが、当時英雄になりたくて、英雄になった人は少ないんじゃないか。ただ少しでも長く生きられるように、せめて大切な人だけでも助けられるように頑張った人が、英雄と呼ばれただけで。

 天使や神におびえることのない、平和な世界が出来れば、後はどうでもよかったんだよ。名前が残るまいと、神になろうと」

「自分を忘れた人たちを見て、ソラはどう思ったの?」

「レンが覚えていたから、忘れられたって感覚は薄いけどな。

 まあ、別に自分の存在が忘れられているからと言って、人と関わりが持てないわけじゃないし。寂しい部分がないわけじゃないけど、普通に生きていても別れは訪れるものだしな。

 知った顔が幸せそうにしてくれていたら、充分。あとは好きに生きさせてもらおう、って感じだな」


 そこまで一気に語ったソラは「彼らも、悪くは思わないだろ」と付け加えた。

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