108話
スライムは、ゆっくりと鞘に納める。
ギロっと睨まれその瞳に後退りしてしまう。せっかく勝ち筋が見えてきた所だったのに。
恐怖で目を逸らしそうになるがグッと堪えスライムを観察する。
スライムは、再び柄に触れ一歩踏み込んだ。下段から斬撃。地面を削りながら凄まじい速さで俺目掛け一直線に飛んでくる。
最小限に回避してスライムの懐まで勢いよく潜り込みその勢いのまま、左から右へと薙ぎ払う。
スライムの死角を突いた一撃。
スライムは、そのことを予知していたかのように刃が当たる部位の変身を解き攻撃を弾き返す。
「嘘だろ!」
斬撃を放ち頭上まで振り上げていたところの隙をついた一撃が不味かった。
弾き返らたことによって態勢を崩したところにスライムは、凄まじい速さで振り下ろす。
倒れそうな上半身を無理矢理に半回転させてスライムの刀を弾き攻撃を逸らす。
「あ、危なかった」
スライムから距離を取り構え直す。
スライムは、顔の横で刀を水平にして弓を引くようにゆっくりと引いていく。
「何をする気だ?」
スライムは、腰を落とし中腰になった瞬間。剣先が眼前まで迫っていた。
神速とも呼べるその突きは頬を掠める。
左の裏拳でスライムの刀を払いのけスライムの胸目掛け突きを放つも一足遅かった。
バックステップで回避されていた。
ニコッと微笑むスライムにイラッと来てしまう。
「強すぎだろう。 反応が出来なくなっている。」
どうした来ないのかと言わんばかりの表情を見せるスライム。
ふぅ。ここで攻めたら返り討ちに合うだろうし。攻められない。どうしたものか。魔力の膜は正常に作動しているけどスライムが早すぎ反応が出来ない。てか攻撃する度に速度が上がっているような気がする。
攻撃して来ない俺を挑発するかのようにその場に正座して鞘に納め左側に置く。
何処からかお茶を取り出して一服し始めた。
「ムカつくな。こいつ。余裕こきやがって」
隙だらけに見えて隙がない。
刀から離れた今、攻撃を仕掛ければ当たるかもしれないが何故だろう絶対に斬られることが分かる。
「ふぅ。覚悟を決めて攻めるとしますか」
最高速で最大火力を叩き込む。そのために身体中に流れる魔力を効率よく全身に巡らせるんだ。
全身に魔力を巡らせながらゆっくりと頭上に振り上げる。
息をゆっくりと吐き身体の余計な力を抜く。




