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サンガリオン  作者: 白野シャチ
三章 奈落の迷宮

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107/131

107話

 呼吸を整え、スライムの行動に注意する。

 しかし、注意深く見ていたのにも関わらずスライムは、すでに俺の懐に低姿勢で潜り込ませていた。

 低姿勢から放たれる突きの一撃は、鋭く確実に急所を狙っていた。

 そのおかげか。直感が働き回避することが出来た。

 回避と同時にスライムの腹に蹴りを入れ後ろに下がる。


「もしかして呼吸が読まれてる?」


 無意識の隙を突かれているようなそんな感覚。

 攻撃するぞという僅かな殺気に気づけるからまだいいがもしそれすらなかったら俺は死んでいた。

 宝具『ツクヨミ』の感覚を思い出すんだ。

 目を瞑り、イメージする。

 自身の周囲に魔力の膜を張り巡られるイメージ。

 すると頭にスライムの位置が明確にわかりスライムの僅かな動きもはっきりと伝わってくる。

 右下から斬られる。

 なら流れに逆らわず月影の腹を使って受け流し大振りになったスライムの脇腹を突き刺す。


「シャ!」


 スライムの悲鳴だ。

 当たったのか。行ける。だけど油断するな。

 スライムは、怒りに身を任せて大きく振りかぶる。

 その隙を逃すわけにはいかない。

 息を止め、中段に構え直し、左から右へと薙ぎ払う。

 スライムの斬った感触が伝わり視覚以外の感覚が研ぎ澄まされていく不思議な感覚。

 スライムは、動きを止め俺を観察している。

 ゆっくりと目を開く。

 スライムは、顔を真っ赤にしていた。


「――背後から攻撃がくる。」

 

 目の前からスライムが消え、背後に回り込まれ刀を振り下ろす。予知に近い勘が働き身体を一回転させてスライムの攻撃に合わせ刀を弾く。

 スライムは、驚いていた。不意打ちの一撃を与えたとでも思っていたのだろうか。


「ふぅ。もう少しで何かが掴めそうだ。」


 スライムは、上段の構えをする。スライムに合わせて下段の構えをする。

 互いに行動を読み合う。さて、いつ仕掛けるか。

 先に動かれた。視界からスライムが消えいた。真下から突きの攻撃が来る。

 一歩下がり攻撃を回避するが頬を掠める。スライムの鳩尾(みぞおち)に膝蹴りを入れる。

 スライムは、噎せりその場に腹を抱えて座り込む。間髪入れず、全力で振り下ろす。

 しかし、スライムは、人型を解除して元のスライムに戻り柔軟な身体を活かされて避けられてしまった。


「戻れるのかよ!」


 スライムは、俺から距離を取り再び人型になっていく。

 真剣な眼差し。スライムは、身体を丸め低姿勢を取り柄に手を置いた。


「何かが来る。まさか。あれは、やばい!」


 咄嗟にしゃがんだ。次の瞬間だった。

 ズバッ!

 恐る恐る後ろを見てると壁に一筋の大きな傷がついていた。

 スライムは、堂々と立ち、刀を鞘にゆっくりと納めていく。

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