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剣と厨房。二人の成り上がり。  作者: 岩戸 勇太
フルータの場合 4
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フルータの場合 19

「なるほどー……そっちの事情は分かったよ」

 声をかけてきた女の子は、それから事情を説明し始めた。

 その子の名前は、サリルという。父は、軍にいて、司令官として戦っているのだという。

「ん? 似たよう話をどこかで聞いたような……」

「知っていましたか……今の王宮パティシエの孫になるんです……私……」

「あのじいさんの……」

 それはわかったが、そのじいさんの孫がいきなり自分に何の用なんだろうか? いきなり結婚をしてくれと言い出した事から考えても、意味がわからないフルータ。

「私の家は、代々パティシエをしている家系なんです……」

 サリルが言うには、自分の代でそれがとぎれてしまいそうなのだというのだ。

「父は、どうせだから、自分達は騎士の家系になってもいいんじゃないか? と、言い出し、祖父は、このままパティシエの家系として、自分の家が続く事を望んでいます」

 その板挟みにあっているのがサリルなのだという。

 サリル本人としては、パティシエになるつもりで、育ってきた。当然お菓子のつくり方なんて、いくらでも知っている。

 だが、父が、たまたま軍人として成功を収めてしまった事で、サリルの人生は、いきなり方向転換を余儀なくされてしまった。

「私はお菓子を作るのが好きです。小さな子や、女の子達に、喜んでもらえるのが嬉しくてならないのです……」

 だが、父が軍人として大成をしてしまった事からサリルは騎士家の息女となったのだ。

 騎士家の娘として、いきなり剣の稽古をやらされ、手には血マメができる。その手でお菓子を作ろうとしたら、お菓子に血が混じったりする事も多く、お菓子作りを諦めざるをえない事もしばしばあるのだという。

「私はこの家の一人娘なんです。だから、否応にも、両親からの期待を受けてしまいます」

 先日、お見合いの話があった。まだ成人になったばかりの十六歳。結婚なんてまだ早いと思っていた。

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