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剣と厨房。二人の成り上がり。  作者: 岩戸 勇太
フルータの場合 4
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フルータの場合 18

 夕食会も終わり、調理場で全員が帰る時間。フルータは一人で片付けをしていた。

 今は、料理に使われた皿を洗っているところだ。

「貴族の人らって、なんでこんなに物を残すんだろうね? こっちがせっかく頑張って作ったんだっていうのに……」

 フルータの後ろには、手をつけられずに残った料理がズラリと並んでいた。

 その中で、エビのフリッターをつまんで、自分の口にまで持っていくレイティが言う。

「意地汚くガツガツ食うと、パーティから追い出されるよ。こういうパーティでは、料理は飾りみたいなものらしいからね」

 フルータが言うのを聞きながらエビを食べたレイティ。

「それでも、料理を作る人間からすると、何のためにこんなものを作っているのか? 分からなくなるものじゃない? 手抜きの料理を出してやろうって気にもなるもんじゃない? このスープには、フルータの作ったブイヨンが使われているんだよ」

 もう一つ、エビをつまもうとしているレイティの手を叩いて止めたフルータ。

「人の食べ残しなんて食べない」

 レイティにそう一言言うフルータ。

 レイティは、それで、フルータの隣に立って、皿を洗い始めた。

「君は子爵の家の娘なんだろう? もうちょっと、つつしみを覚えたらどうだい?」

「何よ……? フルータの前でまで、そんな事をしないといけないの?」

「そうだね、そういう考えじゃなくて、こう考えるんだ」

「ボクの前だからこそやるんだよ。この前ドレス姿を見せてくれた時の事を思い出してくれ」

 そう言うと、ぼう……とした顔をし始めるレイティ。

「そうだね……フルータのためにも、可愛くしなきゃ」

 フルータは考える。こういうタイプにはこう言っておくのがいい。レイティが自分に好意を抱いているのなら、それを最大限に使うだけ。フルータは、レイティに背中を向け口元を笑わせながら、していた。

「失礼します。フルータさんはこちらにいますか?」

 突然に声をかけられたフルータは、厨房の入口の方に視線を向けた。

 厨房の入口にいる人影を見て、レイティは顔を険しくした。その声の主は女の子だったからだ。

「ボクがフルータだけど、一体どうしたの?」

 背中に刺すような視線を感じるフルータ。

 フルータは、ビリビリとくる背中の痛みを感じながらも、その声に答えた。

「あなたが……」

 そう言い、その女の子はフルータの前にまで歩いてきた。歩くたびにその子の金色の髪がフワリと揺れ、薄めの唇が緊張で引き絞られていた。

「私と……」

 そこまで言って、言葉を止めたその女の子。フルータの前に立ち、頭を下げながら言う。

「私と、結婚をしてください!」

 初対面の相手から、いきなりそう言われたフルータ。この状況についてこれず、フルータとレイティは、ポカンとした顔をした。

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