フルータの場合 20
いくつものお見合い写真を渡され、その者達の顔写真を見ると、全員軍服を着ている写真ばかりだったのだ。
「それを知った祖父は、父とケンカになり、祖父は家を出ていってしまったんです。父はもう、『じいさんがくたばるまで待っている事なんてできるか……』と、いった感じで、私を騎士の娘にしようと、いろいろな手を出してきます」
「それで、君とボクとの結婚に、いったいどんな意味が?」
未だに背中にはレイティの視線が突き刺さっているのを感じながら、フルータはこの話の核心を聞こうとした。
「料理人と結婚をしてしまえば、私の家の跡取りは料理人になり、父も家を騎士家にするのを諦めるはずです」
サリルが言い終わると、レイティが言う。
「当然、断るよね?」
レイティはサリルの言葉を一言で切り捨てた。
そういう事情があるなら、同情くらいはするところであろうが、フルータと結婚をするのが目的なのだといえば、話は変わる。
レイティだって、フルータと別れる気なんてないし、それが、フルータの事を好きでも何でもない者が、打算でフルータと政略結婚をしようとしているのを、応援してやる義理もない。
「お願いです! フルータさん、王宮パティシエになれるチャンスですよ!」
「フルータ。まさかここまできて、私の事を裏切るなんて気はないよね?」
サリルとレイティのふたりから、せまられるフルータ。
普段は、冷静沈着を気取るフルータだが、この状況には、さすがに慌てて、二人から遠ざかっていった。
「どっち?」
サリルとレイティは、同時にフルータに向けて言った。
どちらを選べばいいか? 全くわからないフルータはさらに後退りをするが、それに合わせて、二人の女の子達は前に出ていき、フルータに詰め寄っていく。




