相次ぐ異変
昨日の窯の火の事が寝ている間も気になりすぎて、あまり寝た気がしない翌日の朝。
朝目が覚めると真っ先に窯の状態を確認する為に庭に向かったのだが、窯を見ると想像とは違った事になっている状態を見て近づく前に立ち止まってしまった。
「・・・火は消えている。うん、それはいい事なんだ・・・・・」
まだ燃え続けていたら今後どうしようかと考えていたから、見てすぐに火が消えていることが分かったのはいい事なのだが、窯の状態と灯篭に止まっている赤い鳥を見て状況証拠があまりにもある一つの可能性を示しているのを考えられずにはいられなかった。
「はぁ、なんだかなー・・・・・」
昨日ちゃんと窯の前方をレンガで塞いでいたのに、まるで内側から勢いよく倒れた形跡があった。確かに窯の後ろ側にも通気口は設けていたが、そこから入る風ぐらいではこうはならないし、明らかに何かがぶつかったように倒れているのを信じたくはなかった。
昨日の昼から夜最後に見るまで燃え続けていた窯の温度が、夜寝ている間に下がるとはとても思えない。仮に動物でも本能的に火を怖がって近寄ろうとはしないはず、ならいったいどうしてとなるんだが・・・・・。
「まさか、お前じゃないよな?」
灯篭に止まっている今まで見た事のない見事な色鮮やかな赤い羽根をした鳥に視線を向けながら呟くように言ったが、赤い鳥は朝の毛繕いをしていて距離にして2mもないほど近くにいるのだが全く逃げようともせず、こちらの事をまったく気にしていなさそうだった。
結局は見ていないのでなぜこうなったのかは分からないが、とりあえずは火が無事に消えていて火事の心配がなくなった事だけは素直にいい事として思っておこう。
「いや、そもそも火が消えないとかいう不思議現象が起こらなければーーーーー」
ぶつぶつ呟きながら倒れたレンガを片付けたり、一応窯の状態を確認したりしたが特に異常はなさそうだったので、とりあえず窯の事はまた使う事があるならその時どうするか考えるとして、もう一つ確認しておかなければならない池の魚がどうなっているか確認して見ることにした
魚が一日どれくらい食べるのかは知らないが、放り込んだエサを食べなかったから丸一日何も食べていないとさすがに弱っているかもしれない。餌を食べないなら川か海か池に戻すべきなんだろうかと、考えながら池の様子も見る為に橋を渡って池島から魚を探した。
「・・・めっちゃ元気そうだな」
池島から探してすぐに見つけることが出来たのだが、魚は池に何か入るのが嫌なのか風で飛んできた葉っぱ一枚池に落ちた瞬間ものすごい速度で泳いできて、昨日俺に水を飛ばしたように尾びれで水面の葉っぱを弾き飛ばしているのを見て、むしろ昨日より元気そうだと感じとれた。
「ん?・・・・なんか、ん~~~?」
池から葉っぱを弾き飛ばした後に悠々と泳ぐ魚を眺めていると、池を囲んでいる石の隙間が光ったような気がした。池を掃除したときには何もなかったはずなので、ガラスか何か他の物が落ちてたのかと思って取ろうとしたのだが、水面に手を入れた瞬間すごい勢いで突進してきて手にぶつかってきたので慌てて手を引っ込めた。
魚がいるうちは下手に池の水に入らない方がいいかもと思い、無理に確かめようとせずにいつかいなくなって水を抜いてからにしようと考えたのだった。
「魚は想像していた以上に元気だったな。新顔の鳥は灯篭の上から一切動く様子はないけど」
遠くから見るとそういう置物かと思うほどに動きがなくて、あんなに目立つ色なのによく自然界で生き残れるものだと思っていたら、ふと昨日の夜に気になった事があったので庭を見渡してみた。
「・・・・・う~ん、明るいうちだと分からないな。探すか?いや、今日の夜にでも確認してみるか。いろいろ気になる事はあるが、今日は大岩周りを片付けていこうかな」
そう言うと、池島から大岩の近くまで歩いて行った。
「さて、本格的に加工する前に目印だけ先につけておかないとな・・・・・ん?」
大岩の前まで来た時に、明らかに置いた時には無かったはずの輝く結晶の様な物が大岩の表面に出来ていた。
「なんだこれ?」
手に取ってみようと触れたその時、いきなり大岩が大きな音を立てながら岩の内部から押し出されるように壁が崩れて岩と石や砂利が吐き出されるように出てきた。
「っ!あぶねぇ!」
慌てて飛びのいたので靴に岩が当たった程度で済んだのだが、大岩の一面が半円状に崩れた大岩の壁は半分以上埋まるように岩や石などが押し出されていて、池の水の排水用の水路にまで土砂が入り込んで水の流れをせき止めてしまっていたので、慌てて土砂を取り除く事となった。
一先ず水路と大岩の前の土砂は取り除いて、後は大岩の中にある土砂を運び出すかどうかなんだが
「う~ん、これ、大岩の中が変な事になっているな~」
半円状に開いている土砂に埋まっていない上の方を【収納】から取り出したライトで中をのぞくと、今まで一度も見たことがない変化が大岩に起こっていた。
「なんでこんなことに、今までにも何度か割れた事はあったがこんな構造にはなっていなかったはず・・・」
探索者時代にダンジョン生物からの攻撃を受ける壁として使ったり、高所からの奇襲として落として使ったり、色々な用途で使用してきて何度か割れたこともあった為その時に中を何度も見ていたが、一晩放置しておくと中心にある黄色の玉から岩が勝手に生成されていくだけだったはず。
「一度土砂を全部取り出して、中がどうなっているのかちゃんと見てみるか」
そう言うと、大岩の中の土砂を取り出すべくシャベルを手に土砂を運び出していった。
そしてすべての土砂を運び出してから、改めて大岩の中に入ってライトで隅々まで照らしてみたのだが・・・。
「どうなっているんだろうな、これは・・・・・・」
大岩の中は色とりどりの光が様々な鉱石に反射して、鉱石で出来たプラネタリウムのようになっていた。大岩の中心にあったはずの黄色い球が天上の真ん中に埋まっていて、周りの鉱石や水晶などが球を中心に広がっているので、太陽(黄色い球)を中心とした各惑星(鉱石&水晶)みたいに見える為よりプラネタリウムらしくなっていた。
「綺麗だな~で済ませていい変化ではないような気がする・・・、見なかった事にして埋め戻そうかな・・・・・」
いろんな意味であまり人に見せない方がいい事になってしまっている大岩の洞窟?をどうするか考えていたのだが、この家に尋ねてくるのは島民の人達ぐらいで洞窟の入り口に扉でも作って封鎖していれば、誰かが勝手に入る事もないだろうという結論に至った。
思っていたよりも鉱石のきらめく天井が綺麗だったのもあって、ずっと使わずに置いておくのはもったいないと思ったことも確かなので、最低限の掃除と目隠し用の扉を早急に作ることにした。
掃除は家にあった箒で掃くだけなのですぐに終わったのだが、扉作りの材料を何にしようかと考えていて、庭の竹を伐採したときの物が使えるかもと思い浮かんだので、草刈刀を活用しながら半分に切ったり円形の形に整えたりしながら麻紐で縛って扉を作った。
素人仕事なので所々隙間が空いてはいるが、洞窟の中は暗いので見えても地面ぐらいしか分からなかったので当分はこれで良しとした。
「とりあえずはこれで大丈夫かな。いつかは鍵付きの頑丈なものに交換しないといけないかもだけど」
扉も作り終わって無事に設置したところで、お昼を過ぎる時間になっていることに気が付いたので昼食をとることにした。
昼食を作る為に昨日整備した料理スペースへとやってきたのだが、さすがに窯や網焼きの火を使う事はせずに、初日と同じ携帯コンロで料理する事にしたのだった。
ちなみにお昼はそうめんを食べて、食後に縁側でお茶を飲みながら一服していた。
「昼からはどうしようか」
縁側に座りながらお茶を両手に、いろいろ起こっている現状の現実逃避の為に遠くの海を眺めながら今後の予定を考えることだけに意識を向けるように頑張ったのだった。
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