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世界で唯一の神獣ダンジョン管理人 ~何故か自宅の庭が神獣の託児所のようになっていた~  作者: レイン
非日常への変化

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最初の違和感



 世界が慌ただしく動いていた夜が明けての早朝


 いつも通りに朝に起きて、今日からは今まで家からは見ることが出来なかった光景。朝日が反射してキラキラと光る海を見て、心が清々しく晴れるような気持ちになるようだった。


 朝日が差し込む庭の様子はどんな感じになっているかと縁側の庭先まで行ったとき、何とも言いようはないがよ(・)く(・)知(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)違和感が庭から感じるような気がした。


「・・・・・・・」


 だが、見渡してもそれらしきものはなにも見当たらないので、勘違いだと思い朝食の準備をした。


 朝食を済ませて庭に出ると、昨日から流しっぱなしの池の水をいったん止めるために青の玉がある滝岩へ向かった。昨日は排水口まで溜まると池から排水されて水が漏れることなく溜まるのは確認できたので大きな破損がない事は分かったが、これから数日は小さな破損の水漏れで予想以上に水位が減らないかを確認する為に水を止めようとは考えていた。


 そして、一応池の水位も見ながら池の中央の島を通り滝岩へと行こうとした時、視界の端に何か動くものが目に映った。


「うん?・・・何か動いたか?」


 池島への橋を渡る時に、ちょうど島の陰に隠れるように池(・)の(・)中(・)で動いた何かを確かめるためにそっと覗くようにして見てみると、目に映ったものを見て思わず声をあげてしまった。


「な!?・・なんで魚がいるんだ!!」


 池島の裏を泳いでいたのは一匹の青い魚だった。見つかって声も上げてしまったのだが、魚は何の反応も示さないまま悠々と池を回るようにゆったりと泳ぎ続けた。


 驚きと共に逃げようともしない魚に呆気にとられたまま口を開けて眺めること数十秒。


「いやいや、どう考えてもおかしい。昨日まではいなかったのは確実だから夜の間に何かあったのか?・・・野生動物か?いや、でも野生の動物がわざわざ人の庭にまで取った獲物を持ってくるとは思えない・・・・・」


 神野は庭から周りの山を見渡した後、空を見上げた。


「となると、鳥か?夜または明け方にでも取った魚が暴れて落ちた所がたまたま庭の池だったとか?まさかそんな偶然が起きるはずなんて・・・・・、爪痕どころか傷なんて何一つなさそうだけど・・・分からん。一応昨日何かあったか調べてみるか」


 池の水を止めることなど忘れてしまって、一度テントに戻り魔石を利用にした連絡機器、スマ(魔)ホを取り出して何か情報はないか調べた。すると、昨日の夜の出来事が何件か表示されて大規模な複数の流れ星(blessing star)が衝突して大規模な光を放ったことが分かった。


「これが、原因か?・・・夜に魚を捕れた鳥が、流れ星の衝突で発生した光に驚いて落とした可能性が一番あるか?」


 昨夜に誰かが近くまで来た気配はなかったはず、いくら安心できる環境だとしてもさすがに庭にまで誰か入って来たのなら途中で起きたはずだから人為的は仕業ではないはず。


「となると、鳥かぁ?う~ん?確かになんか夜明るくなったような気もするが、その時に音なんてしなかったと思うが・・・」


 いくら考えてもよく分からない事になっていると考えながら、もう一度寝ぼけて見間違いかもしれないという可能性を消す為に池島まで戻ると、魚は逃げも隠れもせず堂々と滝の前で泳いでいた。


「・・・・・見間違いじゃなかったか。これ、どうすればいいんだ・・」


 何か池に生き物を飼ってもいいかもとは考えていたが、それはまだまだ先の話しで飼うための準備は何一つしていない。

 そもそも、この水は海水ではないはずなのに何で海の青魚が問題なく過ごせているんだ?まあ、青魚にしては今まで見たこともない色鮮やかな蒼色の鱗をしているし、自分が見たことも聞いた事もない種類の魚だからもしかしたら川魚なのかもしれないけど、又は新種か。いや、ダンジョン産の魚の可能性もあるか。ダンジョン外で養殖に成功したとは聞いたことないけど・・・。


「わからねぇ、・・・・・食うか?」


 泳いでいる魚を見ながらそんなことを呟くと、まるで危機を察知したかのように俊敏に視界から隠れるように池島の陰に魚は隠れた。


「食べるのは冗談だが・・・まあいい、後で考えよう」


 エサはないし適した水質でもないからそのうち弱っていくかもしれないけど、様子を見て海に返すか川に返すか考えるとするか。


 本来なら池の水を止める予定だったが、さすがに魚がいる状態で水を止めるのは間接的に魚を殺すことになりそうなのでやめて、今日は池の様子も見ながら作業できる火の灯篭の付近に手を加えていく事にした。


 火の灯篭の近くまで行くと、今日作業する為に加工しておいた物を【収納】から色々取り出して近くに広げた。


「さて、まずは除草シートで大体の広さを決めてから耐火シートの位置を決めていくか」


 広げた荷物から丸められた除草シートを手に取ると、玄関横から低木を植えた縁側の踏石(ふみいし)の横まで一度敷いた後、シートが僅かに重なるようにもう一度シートを敷くと十分なスペースが確保できたか確かめるために、複数の折りたたまれた耐火シートを手に取って、庭でイメージしている場所に仮置きしていった。


「まずは窯の位置はここで、ーーーーーー」


 三枚の耐火シートを窯用と網焼き用と焚き火用で場所を何度か調整しながら仮置きをして、各用途の距離が邪魔にならない広さが決まると、除草シートの押さえ釘を打つ作業から始めた。


 釘を打つ作業はすぐに終わり、除草シートの上には石を敷き詰める予定だったので、今までまとめていた庭から出た不要な石や岩をシートの上に運び込んだ。小さい石はそのまま使用できて、大きすぎる石や岩は砕いて敷き詰めようとしたが全然数が足りなかったので、山から石を調達して敷き詰める事となった。


 実は土地と家を購入したときに、売り主からの売買条件で家と面している山の水源を含む山の土地も購入してほしいとの条件があったので、大体山の山頂から家付近と水源までの山の土地は所有者になっていた。

 なので、どうせなら河原のバーベキューのような雰囲気を少しでも感じれるように、沢から小川へと下りながらいい感じの石を探しているとあっという間に時間が時間が過ぎており、他の事にも手を付ける予定だったのだが、除草シートと石を敷き詰めるだけで午後になっていた。


「麻袋に限界まで詰め込んだつもりだったけど、一袋じゃ全然足りなかったのは誤算だったな」


 小川からの石を一度庭にばら撒いた時に分かった事だから仕方なかったが、結局二往復必要だったのが午前中に終わらなかった主な原因だったが、それとは別に時間を使った事もあるので結局は午前中には終わらなかった事だろう。


「まったく、何が気に入らないんだか・・・」


 そう言いながら眺めるのは池の中を泳ぐ魚で、実は小川にいた時に一応魚が食べそうな餌で川虫や沢蟹をいくつか採っていた。そして、どれを食べるか順番に入れてみたのだが、魚は池に川虫や沢蟹を入れると始めは寄ってきて食べるのかと思ったが、器用に口にくわえると水面まで上がって来て水鉄砲のように水と共に庭の地面へと吐き出したのだった。


 何度試しても同じことの繰り返しで、最後には俺に向かって尾びれを使って水をかけてきたので、もう様子を見るだけにした。


「これじゃあ、魚道みたいな水路を作ってカニを放すことは出来ないな」


 小川に沢蟹が生息していたので、庭でも似た環境を作れば山からくる可能性もあるかもと考えていたのだが、この魚がいる限りそれは難しそうだという事が分かった。


「何も食ってないのに元気そうだな・・・・・」


 全く弱っている様子のない魚を見るのをやめて、昼ごはんを食べるために縁側へと向かった。



 昼ご飯を食べた後、午前中に石を敷き詰めた縁側前のスペースへ行くと、窯用の為に石を敷かずに耐火シートを敷いていた近くに、窯用に新たに購入していた耐火レンガが入った袋を【収納】から取り出した。

 【収納】からは計5つの耐火レンガが入った袋を取り出して、袋にはそれぞれ窯用、バーベキュー兼焚き火用と袋に書いており、窯用の袋を残して後はそれぞれの場所の近くに置いて行った。


「さて、本格的なドーム型の窯はあこがれるけど失敗したときに変わりのレンガはないから諦めるとして、とりあえずピザとかグラタンが焼けたらいいから素人でも作れる簡単な窯を作っていくか」


 そう言うと、耐火シートの上に一段目のレンガを正方形になるように組み合わせて並べると、二段目からはコの字型に継ぎ目が揃わないように確認しながら積んで、料理を乗せる段は大判のレンガを並べて後ろには下からの通気口が出来るようにした後は、同じようにコの字型に数段詰むのと通気口を裏にも隙間を開けてから、最後に大判のレンガで天井を作れば積み重ねるだけで出来る料理窯の完成。


「今日は料理まではしないけど、一度火を入れるくらいはしてみようか」


 窯は一応できたので、残りの網焼き用と焚き火用のレンガも積むだけなので手早く終わらせることにした。網焼き用は長方形に敷いたレンガを窯と同じようにコの字で高さと通気口を作るだけなのですぐに終わり、焚き火も窯よりは小さい正方形の外側を一段だけレンガを積んだだけなので手間取ることなく作り終えた。


「よし、今日のやることは終わり。あとは、窯に火を入れてみるのとせっかくだから夜は昨日貰った野菜を網焼きで焼いて食べようかな」


 夜の晩御飯の計画を立てながら、窯に火をともす為に【収納】から薪の束が入った袋を取り出して薪を数と、着火しやすいように庭を掃除したときに片付けた枝木を数本小さく折りながら配置した。

 あとは、着火する為に細い枯れ枝を灯篭の玉から出ている炎で火をつけると窯の中の配置した木の下へ置いた。


 すると、驚くほど簡単に火がついてすぐにパチパチと火花が散る音が聞こえるようになった。


「一応うまくいっているかな?」


 料理がちゃんとできるかの確認はまた次の機会になるだろうが、とりあえず火は燃え続けて上の空間も暖かくなってきてはいるので、失敗はしていなさそうだと分かった。


 そして、明日からはどの作業からしていこうかと考えながら午後をのんびり過ごして、夕方も過ぎて夜のご飯の為に網焼きの準備をしようと思ったのだが、何かおかしなことが起きている作り立ての窯がそこにはあった。


「・・・・・なんでまだ燃え続けているんだ」


 昼過ぎに窯の火をお試しで点けただけで薪の追加は一切していないのだが、あれから約五時間は経っているのに、窯の中ではまだめらめらと赤い炎が燃え続けていた。


 1~2時間で消えるだろうと思っていたのが、やけに長く燃えているなとは思っていたが・・・。


「えぇ~・・・もう炭しか残ってないのに何でこんなに火力が強い?・・・・・いやまてまて、炭が出来てるのも可笑しいし灰が一切見当たらないのはどういう事!?」


 窯の中には、薪の形をほぼ残したままの炭が僅かに赤くなって残っているのみで、その炭を中心に炎が立ち昇っていた。野営で火を使う機会は何度もあったが、今まで一度もこんな不可思議な事は起きたことがなかった。


「え~、あーえぇ~・・・・・うん、炭の節約になるのはいい事だ。ありがたく使うとしよう」


 考えても理解できない現象は一旦受け入れることにしていた探索者時代からの考え方で、一旦それ以上理解する為に考えることはやめた。


「でも、家に火が移ると怖いから炭は全部出しておこう・・・・・あれ・・なんで?・・・と、取れない」


 窯から二つあった炭をとる為にこの家に置いてあったトングで一つ目の炭は網焼き用の場所に移せたのだが、二個目の炭がまるで窯に引っ付いているかのようにどれだけ引っ張っても取れなかった。

 取れないものは仕方ないとあきらめて、炭一つだけだと火力が足りないので薪を使おうと思い火をつけるために窯の中に入れたのだが、薪を動かすときに炭に触れた時簡単に動いたのでもう一度取り出そうとして見ると驚くほど簡単に取り出せた。


「いや、本当にどうなっているんだよ・・・・・まさか・・・」


 もしかしてと思い、窯の中に入れた薪を取り出そうとすると、さっきの炭の時と同じように全く動く気配がなかった。


「・・・・・よし分かった!そういう仕様ならそれでいい!だけど、飯食ってもまだ火が残ってたら絶対に窯の前方は余ったレンガで蓋をしてから寝る」


 下手に壊してしまって万が一直火で燃え続ける事があったら危ないから、せめて火の粉などで火事になりにくいように蓋をすることを決意した。


 結局晩御飯を食べ終えた後も火は燃え続けており、宣言通りにレンガを積み重ねて蓋をしてから夜寝る事となった。明日には火が消えていることを願いながら。



 自然が奏でる夜の静寂と動物や虫の音が響く深夜過ぎの夜。


 火の灯篭にある赤い球が淡い光を放ち始めた。光は徐々に強くなりそれに合わせて周りの炎も灯篭から噴き出すほどに大きくなっていったが、いきなり消えるように元の状態まで戻るとそれ以降灯(・)篭(・)に(・)は(・)変化が起こることはなかった。


 前をレンガでふさがれた窯は、昼からずっとほ(・)ん(・)の(・)少(・)し(・)前(・)ま(・)で(・)燃え続けていたが、漏れ出ていた火の明かりが一切見えなくなると、窯の内側からコツコツとレンガを固いものでつつくような音がした。

 その数秒後、内側から突き破られるようにレンガが吹き飛ばされると同時に、何かが飛び出していった。


 そ(・)れ(・)は、飛び上がりくるりと庭の上を一回りすると、火の灯篭の上に着陸するとそれからは動くことなくとどまり続けた。



読んでいただきありがとうございます

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