現状の把握
目の前で繰り広げられている異常な光景を前に、なぜこうなっているのか原因も分からず叫ぶしかなかった目覚めの早朝。
何時までもこのまま放置しておく訳にはいかないので、まずは早急に一番の問題である火を操る鳥と水を操る蛇の争いで庭に火と水が飛び交う現状を何とかする為に動き出した。
「双方!これ以上争うな」
手でやめるようにジェスチャーを交えながら声をかけると、両方ともにこちらをちらりと見はしたのだがやめることなく続けられた。
「・・・ほぅ・・・・・」
こちらを見たという事は俺が何か言っていることは分かるか、何かを伝えようとしている事だけでも分かったはずだ。流石の俺もこの庭にいる生き物たちが普通の生物とは違う多分ダンジョン関係の生物であることはもう理解している。
お前たちダンジョン生物の中には、会話は出来ずとも意思の疎通が出来るほどの知性があることは分かっているから、今の対応は明確におれの事を無視したってことだよな。
「だったら、【取り出し】拘束の指輪2個。・・・・・【拘束】鳥・蛇!、や!め!ろ!!」
取り出した指輪二個を両手に一つずつ指にはめて、鳥と蛇に左右の手で照準を定めてから【拘束】の魔道武具を発動させた。
二匹はその場で硬直するように空中で動きが止まって、火は新たに生み出されることなく消えて水は空中から真下に落ちた。
「ふぅ・・・・とりあえず火事や大きな破損が起こる前でよかっ・・・な!?」
拘束に成功して周りに危険がないか見渡していると、発動している拘束の指輪についていた魔石がひび割れるような音と共に二つとも砕け散った。
「ありえない!?こんな小さな生き物の拘束に数秒で砕けるなんて!?・・って、こいつらまた!」
拘束が解けた双方が再び臨戦態勢に入ろうとしていたので、あまりやりたくなかった方法で止めることにした。
「【取り出し】強化の指輪・・・・・【強化】、おま・・えら・・・大人しくしろ!」
日常生活では使うことがないと思っていた強化の魔道武具を発動させて、目にもとまらぬ速さで二匹を手に捕まえると、強制的にこっちが見えるように顔を向けさせた。
捕まった二匹は始めはきょとんとして大人しかったが、すぐに抜け出そうと体から激しく炎をあげたり水を体から渦を巻くように出したりして抜け出そうとしたが、一向に抜け出せないまま数十秒が経った頃。
「これ以上抵抗するなら、お前は池の中に沈めるし、お前は焚き火で炙ってやるけどどうする?」
笑顔で両方の嫌がりそうなことで脅迫すると、抵抗していたのがぴたりと収まった。
「やっぱり意思疎通できるんじゃないか・・・とりあえず、今はこれ以上庭で争わない事!もしさっきと同じことをしたら問答無用でさっき言った事を実行するからな!分かったか?」
二匹に言い聞かせるようにして言うと、二匹とも器用に首を縦に振ったのでちょっと驚きながら二匹を手から離したら、燃えている鳥は何時もの灯篭の上に止まると昨日まで見ていた赤い鳥へと変わり、手から池へと落ちるように池へと入っていた蛇?は、いつの間にか見覚えのある魚へと変わっていた。
「・・・・・はぁ、今は被害がないかの確認が先だ。こいつらの正体については後で考えよう」
二匹が落ち着いた様子を見てから庭の現状を確認したのだが、燃え跡や破損もなく不思議なほどに何の痕跡もなくて良かったと同時にまた分からない事が増えて悩む事となったが、まずはこの異常な庭の現状の把握を優先して解決する事にした。
二日前に感じた違和感を確認する為に庭の周りを歩き回り、各方向から庭の出入りを試していくうちに何となくだが現状の庭がどうなっているのか把握できて来た。
「大体庭より少し広い範囲くらいの大きさか・・・いったい何時からこんな不思議空間になっていたんだ?」
庭を歩き回って調べた結果、今まで自分が手を加えてきた庭より少し広いくらいの大きさでダンジョンの中にいるような空間が出来ていることが分かった。
だが、ダンジョンゲートには必ずあるはずのいつものゲートは見当たらないし、どこか別の場所に転移しているわけでもなくただただ空間の境目が僅かに感じられる程度の違和感しかなくて、今までに遭遇した事のない現象が起こっている事だけは分かった。
「他の人ならもっと早くから気づけていたんだろうけど、まさか自分の特技のせいで気付くのが遅れるとは思わなかったな」
神野はこれまで様々な魔道武具や魔道具を使ってきたが、本来ならばダンジョンゲート内でしか十分な効力が発揮出来ないような魔道武具も地球で問題なく使える才能があった為に、他の人がさっきの様な非現実的な争いを止める為に苦労する場面でもいつも通りの使用感で使えていた為、庭にいる生物が普通じゃない事以外に思うところがなかったのだった。
「庭がこうなった原因は分かりそうもないから、まずは目で見て起きた事の確認からしていくしかないな」
そう言って、庭の真ん中にある池島に向かうのだった。
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