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やらかし女神と忘却の勇者  作者: 鹿苑寺ゲン
第一章 女神との再会
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魔法を覚えよう

 スコット村でのクエストを達成してから一週間が過ぎた。

 あれから冒険者ギルドに毎日出向き、クエストを達成しては宿屋で祝杯を挙げる生活を続けていた。

 本日も魔物の討伐の仕事を終わらせてギルドから報奨金を貰い、帰路に就く道中。


 「俺も魔法を使えるようになりたいんだけど、どうしたらいいかな?」

 

 報奨金をもらってほくほく顔で隣を歩くサレンに向かって、何気なく聞いてみた。

 

 「いきなりどうしたんです? あっ、もしかして私の魔法を見て羨ましくなったとか?」

 「・・・そうだな。魔物を見つけた時には、もうサレンが魔法で消し炭にしてるんだもん。おかげでレベルはどんどん離されていくし、俺なんかいらないような気分になるよ・・・」

 

 この一週間、で魔物の討伐をして色々と考えたのだ。

 現状、剣による近接戦闘しか出来ない俺に対して、サレンは攻撃、支援、回復の魔法が使える上に槍による戦闘も可能と誰もがうらやむ万能っぷりを、嫌というくらいに見せつけられたのだ。

 挙句の果てには、スキル『第六感』で魔物の位置を彼女に伝えると、俺が攻撃する前に魔法をばかすか撃ち込んで壊滅させるという事例が多々あった。

 そんなことがあって、俺も遠距離から攻撃を出来る術を身に着けたいと思ったのである。 


 「ゆ、遊星さんにも魔法適正はあるので、基本を身に付ければすぐに習得できますよ! あとは適正属性を調べないといけないですね!」

 

 卑屈になる俺に対して、彼女は慌ててフォローをする。

 

 「じゃあ明日はギルドの仕事を無しにして、魔法の使い方を教えてくれ」

 「分かりました。属性適正の判定は魔導書店じゃないと出来ないので、お金も忘れずに持って来てください」


 早くB級になるためにクエストを休んでる暇なんてないですよ、と断れるかと思いきや、俺の提案に快く承諾してくれた。

 やはり自分でも負い目を感じたのだろうか?

 まあいいさ、明日はサレン先生にお世話になるとしよう。


 そして次の日。

 宿屋で朝食を済まし、食後のコーヒータイムに移る。

 昨夜寝る前にサレンから提案を受け、魔道書店に行く前に魔法の基礎的な講義を受ける事になった。


 「まず魔法は魔力がなければ使うことが出来ません。これは才能の一種みたいなもので、誰にでも魔力があるわけではないため、この時点で魔法の適正が有るか否かと問われてしまいます。ギルドカードのステータス欄の魔力に数値が少しでもあれば、適性有りということです」

 

 魔力を宿しているか否かで魔法の適正が決まってしまうのか。

 このあたりは生まれ持っての力で優劣がついてしまうなんて、割とシビアな世界なんだな。

 

 「次に魔法の『属性』です。火、水、風、地、雷、氷、光、闇、無と全部で8つの属性があります。個人によって属性の適正があるので、自分に適正がある属性以外の魔法は使うことは出来ませんが、例外として、無属性は誰にでも使うことが出来ます。適正のある属性の種類は人によって様々で、私は光属性だけしか使えませんが、複数の属性を扱える人もいます。これも生まれ持っての才能に依存してしまいますね」

 

 神様であっても属性属性は限られてくるんだなぁと、少し驚いた。

 果たして俺にはどれくらいの適正があるのだろうか。この後、測定してもらうというので楽しみである。


 「あとの講義は実践時に行います。さて、魔導書店に向かいましょうか」

 

 一旦座学は終了。すっかり冷めてしまったコーヒーを飲み干して会計を済まし、俺達はお店へと向かった。

 地図を見て『カナマの里』から中央通りまで進んで行き、俺の剣を買った武具店のある近くまで歩いて行くと、杖と本のマークが記されている看板を見つける。


 店の中に入ると、少しジメッとした空気と薬品のような鼻に付く匂いがした。

 無骨な感じの武具店とは違い、薄暗くて陰湿な感じがするが大丈夫だろうか。

 

 「いらっしゃいませ~」

 

 本棚の整理をしていたお下げのメガネっ子店主が、気の抜けた挨拶で迎えてくれる。

 

 「私の連れの適正属性鑑定をお願いします」

 「かしこまり~。そしたら水晶のあるテーブルの席に座ってくださいな」

 

 何とも間の抜けた声で案内する店主に従い、俺とサレンは席に着く。

 

 「それでは、この水晶に触れて魔力を流してみてちょうだいな」


 店主に言われ、テーブルの中央にある水晶に手で触れたがそこで止まる。

 

 「なあ、魔力ってどう流せばいいんだ?」

 「体に流れている力を右手に集中させて解き放つ、というイメージをしてみてください」


 サレンからのアドバイスを受けて、言われた通りに頭の中で思い浮かべてみる。

 体中から見えない力を右手に凝縮させて放つ、見えない力・・・オーラ的な何かを体中から集めて一つに・・・そして右手から出るように力を流す・・・!

 

 右手を使って何かが出てきた感覚が伝わると同時に水晶が光始める。

 そして水晶の中に稲妻と竜巻のような絵が映し出された。

 

 「ふむふむ、お連れさんの適正属性は『雷』と『風』だね」

 「ということは、二つの属性の魔法が使えるってことか?」

 「そゆこと~。雷と風は攻撃魔法と補助魔法が豊富だし、相性もいいから複合魔法も使えて万能なんです。見た所剣士さんみたいですが、魔力値が高ければ魔法使い職に転職しても良いかもねぇ」


 俺の適正属性は、店主さんから見ても良い感じのようだ。

 ステータスの魔力数値はサレンより低いが、それでも一般の冒険者よりは格段に上の方だ。

 これで魔法を使いこなせるようなれば、前衛と後衛の両方が出来るし、戦い方の幅も広がる。

 

 「ちなみに、私の光属性は使い手がなかなかいない、珍しい属性なんですよ?」

 

 突然、サレンが何故か聞いてもいないことを口にした。

 複数属性が使えて喜んでいる俺への当てつけだとでもいうのか?

 

 「ほーう、お姉さんもすごいですね。光属性は攻撃、補助だけでなく、唯一回復魔法も使えるから、光属性持ちは複数属性持ちよりもパーティーで重宝されるんですよねぇ~」

 

 店主の興味が俺からサレンの方に移ると、彼女は何故かふふんと俺に得意げな顔を向けてくる。

 俺と張り合っているつもりなのだろう。

 講師の機嫌を損ねるわけにもいかないため、子供かとツッコミたい気持ちは抑えることにした。

 

 「さてと、これで鑑定は終わり~。お代は千リギルね。雷属性と風属性の魔導書はどうする? セットで買ってくれたら少しお値引きするよ?」

 「じゃあそれも付けてもらおうかな」

 「おっけー。そしたら合計七千リギルでーす」

 

 料金を払って、紙袋に入れてくれた二冊の魔導書を受け取り、店主に礼を言って店から出た。

 魔導書は厚みが深く、持つとずしりと重みを感じる。

 携帯する物ではないのだろう。魔法をいくつか覚えたら重石の代わりにでもするかな。


 「属性も分かって魔導書も手に入れたことですし、次は街の外で魔法の実践をしましょう」

  

 いよいよ本格的な訓練になってきた。

 雷属性と風属性の魔法ってどんなんだろうなぁ。

 単純なイメージ図しか思いつかないが、迫力ありそうだし使ってみるのが楽しみだ。 

 

 

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