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応接間に着くと降ろしてもらえるのかと思ったのだが、そのまま彼の膝の上に乗せられた。ソファーに座りたいと意思表示はしたが、「なぜ?」と不思議そうな顔をされてしまい、私が折れた。


嬉しそうに愛おしそうに私を抱えるので何もいえなくなってしまった。多分両親も同じ気持ちだったのだろう。少し遠い目をしていた。



「それで、えっと」


お父様が頑張ってリュークに声をかける。


「リュークバルドだ。レティシアの番だ。以後よろしく頼む」


頭は下げないが、しっかり私の両親を尊重してくれているみたいで少し嬉しい。



「えっと、リュークバルド、様。申し訳ないのですが、これから王都に一緒に行っていただきたい」


私達は今、自分達の領地である、少し王都から離れた場所にいる。うちは商会をメインに事業を展開しており、領地にはたくさんの工場がある。そこで作った物を王都のお店で販売している形だ。


中々堅実に手広くやっているようで、お金だけなら侯爵家にも負けないらしい。



「王都?なんの為にだ」


「婚姻には承認が必要となります。ましてや番間の婚姻となると王都での承認が必須です。貴方様は龍人。多分ですが、陛下との謁見の上、承認となるかと」


物語の中だけの存在との婚姻。王都を揺るがす事態なのは想像に難くないだろう。



「人の世界はめんどくさい。だが、そうしないとレティシアを手に入れられないのであろう。ならば、仕方ない。ただし、謀るなよ。我は利用される気は毛頭ない」


威圧的オーラをお父様に向けるリューク。


私は慌てて、声をかける。


「ちょ、だめです!怖いです!落ち着いてください!」


私の声に威圧感をなくしてくれる。


「すまない。怖がらせたな」


優しく頬を撫でてくれる彼に、なんともいえない空気が流れる。


「えっと、お父様。王都行きますわ。報告大事ですもんね」


私の言葉にお父様はホッとしてくれた。


とりあえず早々に王都に向かうこととなり、後はリュークの扱いについてだ。


「リュークバルド様はどちらにお住まいなのでしょうか」


お父様の疑問に答えてくれる。


「我の棲家はここより遥か遠く、山岳地帯の中腹だ。まぁ飛べば数刻か。此度は久しぶりの散歩だったのだ。それで、惹かれるものがあり、地上近くを下りてみたところレティシアを見つけた」


「で、では、今後はどのようなご予定でしょうか?レティシアとは、どうお会いするご予定で?」


遠距離恋愛かとリュークを見る。


今のところ恋心とかはなく、ただイケメンというだけの存在だ。これから交流して、仲を深めていければと考えているが、リュークはどうなんだろう。じっと見つめていると、優しく見つめ返してくれる。



「もちろんそばにいるつもりだ。レティシアがお主ら親と離れれないと先程言っていた。だから、私がここに参る。部屋を一つ貰い受けれれば、そこで仕事は可能だ」



「仕事?リュークはなんのお仕事してるの?」


ぽろっと疑問が口から出てしまった。


「仕事といっても大したことはしておらん。ただ、部下がうるさくてな。判を押さなければいけない書類やら、揉め事の対処やら。そういった些細なことをしておる」


リュークが教えてくれる。


「…もしかしてリュークって偉い人?」


部下とか、判とか聞くと龍人の中でも偉い人なのかと思ってしまう。



「偉い、のかどうかはわからんが、今は我が龍人の王だ。皆、我より非力の為、統率しておる」



出てきた言葉に絶句してしまう。

お父様もお母様も同じ顔をしていた。


龍人の『王』。

即ち、世界最強。


私ってば、とんでもない番を引き当てたなと他人事のように思ってしまった。









とりあえず、部屋の準備は残った者に任せて、私は王都へ向かう準備をする。


ここから王都まで2時間程度か。タウンハウスにも色々と物はある為、必要最低限で向かう。



「飛べばすぐだぞ」の言葉を丁寧に断る。

流石にまだ怖い。


大人しく馬車で行くとの言葉に不思議そうな顔をしていた。






病み上がりにきついかもと考えていたが、広々とした馬車で横にもなれる仕様だった為、特に疲れもせず、タウンハウスに着いた。



怒涛の展開だったが、お父様は明日の準備の為、部屋に篭り、私も早々に休むことにした。


リュークも一度家に戻るといい、私に自分の鱗を差し出してきた。



「…これは?」


「我が鱗だ。これを持っていればお前の位置がわかる。ギュッと握れば、何かあったと思い、そばに行く。俺の番という証でもある」


おおう。GPSか。と心で思う。



「ありがとうございます」


そう言いながらどうしようかと考えていると彼が自分のつけていたアクセサリーを使って、器用に首飾りにしてくれた。


「いいか。外すな」


しっかりと頷いておいた。




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