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彼の喜んだ顔に少し驚いていると、そっと手を握られる。
「お前の親から獣人と人との考え方を聞いた。人と番うなど考えてもいなかったから、お前の意思が全てだと聞かされた時は驚いた。お前が受け入れなければ、何があっても渡さぬと言われた時は、どうするべきかわからなかった。だが…」
そう言いながら、ゆっくりとこちらに顔を寄せてくるのでその口を片手で塞ぐ。
「だ、だめです!私はまだ4歳なんですよ。キ、キスなんてまだ早いです!」
そう慌てて言うと、彼が目を見張る。
「4歳…とは?何がだめなのだ?」
その言葉にこっちが驚いてしまう。
「…えっと、4歳です。まだ、子供ということです」
「…子供。子供に口付けは駄目なのか?」
本当に心底わからないという顔をするので、一生懸命説明する。
キスをしていい正確な年齢は難しいが、とりあえず成人するまで大人な関係も結婚もダメだと。今はまだ手を繋いだりとか、ほっぺに口付ける程度だと教えると、少し考えた後、「わかった」と言ってくれた。
「要するに、赤子ということだな。お前はまだ産まれたてということか。ならば、少し待ってやろう。だがな、私はあまり我慢強くはない。早急に大人になれ」
うっとりするような表情で、私の頬を撫でながら言われ、私は思いっきり赤面してしまった。
とりあえず、今後のことを決めないといけないということで、退出してもらっていた、お父様達を呼び戻す。
私の髪の毛をずっと撫でている龍人の姿にお父様達は全てを察したのだろう、諦めた顔をし、今後の話をしたいとリュークバルド様に話しかけていた。
「レティシア。お前も話し合いに参加してほしいのだが、体調はどうだ?」
お父様が優しく聞いてくれる。
「はい。大丈夫です。ただ、ずっと寝てましたし、汗もかいてしまってますので、一度お風呂には入りたいのですが」
今更ながら、すごい格好で未来の夫?と会ってしまったなと思う。
「そうだな。お前の身支度が整ってからとしよう。ご飯も食べてないだろう。急がなくてよいから、しっかり支度してからおいで」
優しく笑いかけてくれて、お父様は部屋から出ていった。
代わりに私の支度の為に、侍女が何人か入ってくる。
「えっと、リュークバル、ド、様?」
初めて名前を呼ぶので緊張と言い慣れない名前で少しどもってしまう。
「言い慣れないなら、リュークでよい。それに敬称もいらぬし、話し方も普通で構わぬ。お前は私の番なんだから」
甘すぎるセリフに耐性がなく、動揺してしまう。
「えっと、じゃあ、リューク。あっ、私もレティシアって呼び捨てで呼んでください。あの、それで、私これからお風呂に入ったり、着替えたりするんです。なので、一旦出ていっていただきたいのですが」
4歳といえど、羞恥心はある。そして、前世の記憶があるから余計に恥ずかしい。
「…危険はないか。この者たちは安全か?」
ぐるっと私の部屋に入ってきた侍女たちを値踏みするかのようにみる。
少し見た後、納得したのか、立ち上がってくれた。
「何かあれば我を呼ぶがいい。扉の前におる」
頬に口付けをし、リュークは部屋の外に出ていった。
「愛されてますね、お嬢様」
1番古株の侍女に言われ、なんて返していいか、わからなかった。
お風呂に入り、支度をされながら用意されてる軽食を食べる。用意されたドレスに着替え、部屋の外にいるリュークの元へ行く。
「すいません。お待たせしました」
駆け寄ると、嬉しそうに目を細めてくれる。
こうやって立ってる姿を見ると、彼の人外っぷりがよくわかる。
2mは超えてるであろう身長に、均整のとれた体躯。切れ長の目に、スーッと通った鼻筋。前世含め、今まで会ったどの人よりもかっこいいと思う。
先程、鏡で見た自分とでは全然釣り合っていなのではと思う。
ゆるくウェーブのかかった金髪にピンクの瞳。前世の私からすれば、美少女!という感じではあるが、お母様やお姉様を見た後だと、まあ普通という感じだろう。それにやはり、4歳。手足がぷにぷにの幼児体型である。
そんな考えのまま、リュークの前に立つと、彼は私を抱き上げた。
「えっ」と思う間もなく、彼と目線が同じになる。
「何か、変わったことはなかったか。顔色も先程に比べ、よくなったな」
当たり前のように彼がするのでこれが日常になるのかと考えると頭が痛くなる気がする。
「行くか」といいながらも降ろす気がない。私はそのまま応接間まで運ばれていった。




