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【アーデンティア帝国編 第一章 スタート!】剣を捨てて殴ったら人生が変わった!  作者: 初雪空
アーデンティア帝国編 「第一章 感情がない彼女たちの日常」
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水の精霊ウンディーネもびっくりの実力!

追放されたジンは、 歴代勇者の痕跡をたどる!

https://hatuyuki-ku.com/?p=4566

 可愛らしい、フランソワーズ。


 彼女は、砂上艦ノイエ・ヴァサーの中で特別扱いだった。


(艦長のユーリと同じか、それ以上……)


 ゲリラの拠点と思しきオアシスに到着して、艦はドックらしき場所で修理中。


 俺はフランソワーズに張りつかれ、24時間ベッタリだ。


 おかげで、彼女の裸も見た。


 期待している様子から、手を出して欲しいことが分かる。



「お前も……四元素の精霊か?」


 お互いに服を着たままだが、抱きついているフランソワーズが顔を上げた。


「そうだよ! いつ、気づいたの?」


「砂上艦で行動している期間が長すぎる……。というか、水の心配をしている様子がなかったから」


 ため息をついたフランソワーズが、俺から離れた後で、自己紹介する。


「水の精霊、ウンディーネ……」


 広げた片手の上に、いきなり水の塊が浮かぶ。


 ギュッと握りしめれば、何もなかったように消える。


 それを見ていた俺は、思わず言う。


「マリカも、風の――」

「あ! 元カノには、僕が伝えておいたから! 安心して?」


 こちらを見ている目に……光がない。


「ずいぶん荒れていたけど、僕と戦えば、あいつも楽には勝てないよ! それとも……」


 前かがみになったフランソワーズは、下から覗き込む。


「あの女が、まだ気になるのぉ?」


 この対応には、慣れているんだ。


(マリカと過ごした日々でな?)


 そう思いつつ、笑顔で答える。


「ハハハ! 契約をしたんだろ? 俺に、戦い方を教えてくれ」


 光が戻った目で、フランソワーズが姿勢を戻す。


「うんうん! アーデンティア帝国に本格的な反撃をするし、その意気だよ!」



 ――オアシスの湖のほとり


 砂漠で生きられる、数少ない場所。


 そこで向き合ったフランソワーズが、説明する。


「最初は、この湖の上に立つ――」


 身体強化したジャンプ力で宙を舞った俺は、回転しつつ、湖の中央に降り立った。


 両足の底は沈まず、波紋だけが広がる。


「なるほど……。応用しやすい力だな?」


 分かりやすいパフォーマンスで、見学していた奴らが感嘆の声を漏らした。


「破壊してもいい、スクラップは?」


 見学していた奴らの1人が、返事をする。


「ちょっと、待て! もう走らない戦車があっただろ?」


 そいつは指揮をする立場らしく、部下のような人物が走っていった。


 やがて、キュラキュラと音を立てつつ、戦車がやってくる。


 ガタついており、どうやら修理できない代物。


「こいつをやってくれ!」


 言うが早いか、そちらの方角にいた連中が退いた。


 水面に立っている俺は、停まっている戦車のほうを向く。


 けれど、何かのミスか、それとも俺が憎いのか、いきなり主砲がドンッという轟音。


 衝撃波だけで人体を切り裂きそうな砲弾が飛んでくるも――


 片手をかざすことで、その砲弾が見る見るうちに勢いをなくし、明後日の方向へ飛んでいった。


 ドオンッと、砂漠に着弾する音だけ、聞く。


「その戦車の中に、誰もいないな?」


 顔を見合わせた奴らの中で、ノイエ・ヴァサーの艦長であるユーリが前に出た。


「ああ、いいぜ! 誰か乗っていても、無警告で主砲を撃つのはやり過ぎだ! 帝国のスパイなんだろ」


 反論の声はない。


 純粋な事故かもしれんが、これで許したら、俺を狙ってもいいと舐められる。


「ハイハイ……。じゃ、やるぜ?」


 片手を振り抜けば、圧縮した水による刃で斜めに切り裂かれる戦車。


 ギィイイッと嫌な音を立てつつ、上半分がずり落ち、重い音で地面に落ちた。


 音が消える。


 やがて、雄叫びのような叫び声が重なった。


「うおおおおっ!」

「勝てる! これなら、帝国のやつらに勝てるぞ!」

「長かった……。このオアシスで細々と生活しなくても、いいんだ」


 女たちも、熱い視線を送ってくる。


 けれど、それを遮るようにフランソワーズが立つ。


 彼女は低身長だから、それでも視線は届くが……。


 俺のほうを見たフランソワーズは、満面の笑み。


「すごいね! もう実戦レベルで使いこなせるんだ! あの女に育てられていたのは、不愉快だけど……」


 片手で自分の後頭部をかいたフランソワーズは、俺よりも慣れた動きで振り向いた。


「見ての通り、ティルは即戦力だよ! 遠からず、最寄りの帝国軍の拠点を襲撃するけど、今はここまで!」


 パンパンと手を叩いたら、見世物は終わったと言わんばかりに、見学していた群衆が立ち去っていく。


 一部は仲間と話しているが、どいつも明るい表情。


 湖の上にいる俺は、フランソワーズに腕を引っ張られて、陸地へ戻った。


 ところが、待っていたユーリに声をかけられる。


「ちょっと、いいか? 少しだけだ……」


 不機嫌になったフランソワーズを宥めつつ、俺を見るユーリ。


「大事な話だろ? 構わない」

「助かる!」



 ――ユーリの屋敷


 砂漠の中にあるオアシスでも、リーダーの屋敷は立派だ。


 窓と呼べるものはなく、四角にくりぬかれた空間に目隠しのカーテンがあるだけ。


 オアシスが傍にあるせいか、何となく涼しい風が吹き抜けていく。


 お茶と菓子を用意された後で、ユーリは真剣な表情に。


「初めて見た……。フランが他人に興味を持ったのは」


 その顔を塗り潰していたのは、恐怖だった。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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