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42話・過去の問題が今も残っているんだな

 ナバールリゾート近くにある個室カフェ・タイキック。

 12畳ほどの個室でトバリ達は席に座るが、シオンとスイレンが顔を歪めた。


「「いっつ」」


 2人が悔しそうな顔で座る中、トバリが対面に座るヒョウカへ目を向ける。


「まずはお招きありがとうございます」

「いえいえ。私達こそ無理を言ってごめんなさいね」


 トバリとヒョウカが互いに一礼した。

 するとトバリの左隣に座っているソラがメニューを手に取る。


「それで注文はどうするんスか?」

「ウチの奢りなので好きに頼んでいいわよ」

「おお! ありがとうッス」


 ヒョウカの返答にソラが目を輝かせた。


「ソラ、待って」

「ん? トバリ、どうしたんスか?」

「この状況で無料は怪しくない?」

「あー……」

「別に今回は裏はないわ」

「「「「え?」」」」


 冷たい笑みを浮かべるヒョウカへ、トバリ達は戸惑う。

 

「私って信用ないのかしら?」

「お姉様は冷たいですしね」

「うぐっ!?」


 スイレンの一言でヒョウカが胸を抑える。

 近衛姉妹のやりとりを見ていたトバリは、軽く息を吐いた。


「では自分の分は自分で払うのはどうですか?」

「本当ならウチが出したいんだけどね」

「わたし的に近衛家へ貸しを作りたくないな」

「な、なるほど……」


 シオンが鋭い目になる中、トバリ達はテーブルにあるタブレットを使い自腹で注文していく。

 少しして注文が終わったトバリは、対面に座る近衛姉妹へタブレットを渡す。


「それで本題だけど、2人はなんでシオンに敵意を向けたんだ?」

「……アナタ達は私が昨日言った『如月家がウチのプライドを傷つけた』のは覚えているの?」

「オレも覚えているけど、シオンさんが直接関係ないよね」

「「それはそう!!」」

「「「「認めるの早いな!?」」」」


 河原の冷静な言葉に、近衛姉妹が真顔で頷く。


「てか、わたしは1回しか名家パーティに行ってないのに急に出禁なのは酷くないか?」

「それはシオンさんがトウカにかなり似ているからじゃない?」

「確かにわたしはトウカと瓜二つだけど……」

「ボクも間違えそうになりましたから。というか、本当にトウカじゃないんですよね」


 スイレンがシオンに疑いの目を送る。


「もちろん! あんなやばい問題児と一緒にするな!」

「ええ!? シオンがそれを言うんスか!?」

「今回に関してはシオンの言い分は間違ってないぞ」

「そ、そうなんスね」


 ソラがドン引きする中、トバリがテーブルに置いてあるお冷を飲む。


「で、近衛家は如月トウカに何をされたんだ?」

「それは……。トウカがパーティで周りの人達にかなり見下しマウントをしてて、それにボクも巻き込まれたんです」

「ごめん!! トウカならやりそうなことだ」

「そうですよね! しかもボクが『君は性格が最低だね』と返答したらぶん殴ってきたんですよ!」

「「あー」」


 スイレンの叫びにトバリとシオンが死んだ魚のような目になった。


「噂のトウカってかなりやばいんスね!?」

「オレもトウカさんを少し知っているけど、彼女ならやりそうだ」


 ソラが戸惑い、河原が頬を歪めた。


「ちなみにトウカが手を出した後はどうなったんだ?」

「ボクも殴り返して喧嘩になって、最終的に身体強化も使って会場の一つに大きな被害を出しました」

「やり返す理由はわかるが、お前もやばくないか!?」

「だからボクもパーティ出禁になったんですよ!」


 スイレンが悔しそうに叫んだ。


「この出来事がキッカケで、名家界ではウチと如月家が距離を取られるようになったのよ」

「そりゃ近衛家側からしたら、如月家を恨むよな」

「トバリさん、そう言っていただきありがとうございます」


 ヒョウカが柔らかい笑みを浮かべ、トバリへ一礼した。


「おいトバリ! お前はどっちの味方だ!」

「どっちの味方より、トウカの敵だな」

「それはいいんだけど、お前にはわたしの味方をしてほしい!」

「わかっているよ」


 トバリは右側に座るシオンへ優しく微笑んだ。

 

「ならいい。それで近衛の2人は、如月家に恨みがあるんだな」

「いや? ボクは如月家よりもトウカに強い恨みがありますね」

「それなら問題なさそうだ!」


 シオンがホッと息を吐くと、扉のベルがなった。


「失礼します! ご注文の品をお持ちしました」

「ありがとうございます」


 カートを押す店員が室内に入ると、トバリがお礼の言葉を返す。


「いえ! ではご注文の品を置いていきますね」


 店員が軽く微笑み、テーブルに飲み物やスイーツを置いていく。

 少しして仕事を終えた店員は一礼して、部屋の外へ出た。


「話を戻して、近衛姉妹は俺達をここに呼んで何をしたいんだ?」

「それは……。シオンさんが本当にあのトウカじゃないか確認したかったんですよ」

「なら、別人で解決したな」

「「ええ!?」」


 近衛姉妹がトバリのゴリ押しで唖然とした。

 ただ、トバリ本人は不思議そうに首を傾げる。


「まだシオンをトウカと思っているのか?」

「いやその、実際に双子なのはわからないですよね」

「んー。なら、如月家に確認したらどうだ?」

「……そうさせてもらうわ」


 ヒョウカが難しい顔でスマホを取り出した。

 その姿にトバリはため息を吐き、右隣に座るシオンを見る。


「今回に関してはお前は被害者だな」

「ん? ああ、慰めてくれ!」

「後でならいいぞ」

「やった!」


 チョコケーキを幸せそうに食べるシオンへ、トバリがジト目を向けた。

 その後、近衛家は確認をとり、この場所にいるのがトウカではなく、シオンなのを確定させる。


「本当にトウカじゃなかったんですね」

「当たり前だ!」

「「申し訳ないです!」」


 頭を下げる近衛姉妹へ、シオンが満面の笑みで頷くのだった。


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