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瀬戸内ロワイヤル  作者: アマテン


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6/8

広島県:後編 尾道での鬼ごっこと婚約者候補生ぞろい

名取撫子視点


 界が家出してから約2か月、まだ界は捕まっていない。家出当初は霧子ちゃんたちと協力すればすぐにつかまるでしょう?と楽観視していましたが、全く界の足取りが掴めません。そして界の認識が変わったのは霧子ちゃんたちが撃退された時。改めて界の真柴家にいた時の交友関係を調べなおしました。真君・夕陽ちゃんにも話を聞こうと連絡したのですが


「俺たちは界の味方だから話すことはない」


と言われました。二人とは界が家出した時すぐに連絡を取ったわ。二人の慌てようから界の家出については知らなかったのでしょう。二人からは


「きちんと話したの?」

「最近の様子は?」


と聞かれたので霧子ちゃんからの報告書を読みながら伝えてると


「ねえ、実際に界ちゃんとは会った?」

「いや、リモートなら話してるわよ?こっちも大会の準備や運営で忙しかったから」


 大会は界の大切な婚約者を決める大事な行事。たくさんの人も関わっているから失敗は許されなかったし、界ちゃんももう高校生わかってくれるでしょ?それを聞いた二人は


「はぁー、わかったわ」


 と言われ電話を切られた。それ以降何度かかけているのですがまともに話を聞いてくれない。何か間違ったことを言ってるかしら?お義父様やお義母様・お父様・お母様にも話を聞いたのけど、こちらの事情を説明すると真君たちと同じ反応。


 前回霧子たちだけでは界を捕まえられないと分かったので、さらに人材と質を高めるため東京の家を警備しているMRマスターランクの東条渦花とレジーナを呼び出した。二人はすぐに指揮を執り捜索を始めましたがまだ見つかりません。


 界が岡山県にきて3週間たったある日、岡山の作戦本部で雄一さんと夕食を取っていると霧子ちゃんが慌てた様子で部屋に入ってきます。


「旦那様・奥様、お食事のところ申し訳ありません。界様のXが更新されました」

「どんな内容だ」

「それが

『出現予報!明日10時千光寺』

だそうです」

「千光寺ってことは尾道市だな?」

「はい」

「なら今すぐむかうぞ」


翌日9時55分


「界の姿は?」

「まだ確認できません。千光寺および尾道周辺に人員は配置済み。ドローンの使用許可もとりましたので各地に配置しています」


 昨日界からツイートを見て急いで関係各所に連絡し包囲網を設置しました。参加したい婚約者候補の女の子たちにも伝達済み。さらにテレビクルーにも伝え所々にカメラを設置し、地域の人たちには界が周辺に隠れていることを伝え騒がしくなることも伝えています。


 そして予告の時間10時になると


『すみません。これって雄一さん・撫子さんへ伝わっていますか?』

『!?はい、写ってますよ』

『ありがとうございます。二人とも来たんだね。てっきり全壊みたいにメイドや執事たちに任せると思ってたのに。少しは親っていう自覚でもわいたのかな?まあどうでもいいけど。他にも勝手に決められた婚約者候補も来てるね。中に走ってる子もいるわ、暇なことで』


 尾道で撮影しているクルーのカメラ一つに界の姿が写ります。カメラ越しと言ってもこんなに近くで見るのは約2か月ぶり。でもその姿は名取島で会った普通の子供のような雰囲気ではない。


「これが界だって?生き生きしてるし雰囲気が父さんに似てる」

「名取島での姿は嘘だっていうの?でもどうして」


 私たちが困惑しているとテレビ画面上の界は話を進める。


『まあ、今回は直接来てくれたってことで父さん・母さんって呼ばせてもらうよ。父さん・母さん、勝負しようか?ルールは簡単、俺は2時間この尾道の街で逃げ回るから拘束してみてよ。さすがに婚約者候補の女の人には手加減するけど他は本気で意識を刈り取るから。じゃあ、頑張って』

「あなた、界からお父さんって呼ばれたことある?」

「今思い出すと”雄一さん”としか言われてない」

「私も”撫子さん”としか言われてないわ。界と話していけば自然に呼び名も変わると思ったけど」

「俺も思っていた。でも違うのか押しれない」



界視点


「ありがとうございます」

「あの」


 レポーターにお礼を言って走り出す。レポーターは何か聞きたそうにしているけど無視。尾道の町は坂道が多く住居も港町らしく平屋が並んでいる。


ダッ


 早速物陰から執事とメイドが掴みかかってくる。体をそらしそれぞれの手をつかみ投げ飛ばす。


「いたぞ」


 背後から足音が聞こえメイド・執事たちが向かってくる。さあ、本格的な鬼ごっこが始まるぞ。周囲を確認しながら石畳を走っていく。当然町中には住民の人々が普通に生活しているので気を付けて駆け抜けていきます。

 背後には10人余りついてきており、正面には緑の網目のフェンス(約2m)その奥には車が数台と待っている。どうやら駐車場みたいだ。そのままフェンスに向かいジャンプ、フェンスの上に手をかけそのままフェンスを飛び越える。そのまま駐車場を掛けながら背後を確認してみると4人ほどが追い付いてきている。他のメンバーはフェンスを飛び越えるのに時間がかかったり、入り口を探して大回りしている。先ほど飛び越えたフェンスの正面のフェンスにたどり着きジャンプして飛び越える。


「そっちは!」


 後ろから追ってきたメイドたちが驚き終えを上げる。確かにフェンスの先は水路で通行止めに見える。でもよく見ると何らかの杭やちょっとしたでっぱりもあるので、そこを足場に水路を渡っていく。なるほどなるほど、このぐらいのパルクールで撒くことができるんだね。俺がこんなにパルクールがうまいのかというと真柴家のおじいちゃんに教えてもらった。真柴家のおじいちゃんはマタギでよく森の中を猟銃を背負いながら駆け巡っており、長期休暇などおばあちゃんちに泊まりに行ったときに森の歩き方を教えてもらった。真柴家に帰ってからも街中でその技術を磨いていた。


 パルクールを駆使しつつ追手から逃げていると


「界様」


 背後から狛犬さんと青沼(明日香)さん含め数人が追手に追加される。先ほどと同じく塀やフェンスを飛び越えたり、僅かな足場で普段は通れない道を通って撒こうとするが狛犬さんたちは追いついてくる。ふむふむ、エキスパートランクだとこのぐらいはついてくるんだね。ちらちら後ろを確認していると時折どこかに連絡はしているようだ。さてもう一段階パルクールのレベルを上げるか。

 3mほどの石壁に足をかけ石壁のふちに飛び乗り駆け出す。背後を見るとオレと同じようにして追いかけてくる狛犬さんたち。目的地の場所まで走ると真横に大きくジャンプして3階建てのマンションの2階部分の取っ手をつかむ。近くの配管を登って3階→屋上へと移動する。狛犬さんたちを確認すると一人が手で足場を作り反動を利用して人を発射してオレと同様にマンションの取っ手をつかんでいる。だがそこから屋上への進み方はぎこちない。よし、いい感じに撒けたな。


 マンションの屋上から別の建物の屋上を経由して逃げる。とりあえず追手からは完全に逃げれたね。周りを見ながら次はどこに行こうか考えながらどこかの工場の屋上に移動すると


トン

トン


 両サイドから別の屋上から移動してきたメイドが二人。二人はそれぞれメイド服をつまみカテーシー。


「何度か姿は見かけたことがありますが改めてご挨拶を。名取グループ所属メイド隊MRマスター東条渦花です」

「同じく名取グループ所属メイド隊MRマスターレジーナ」

「申しわけないですが界様の身柄拘束させていただきます」


 東条渦花さんは長い黒髪をポニーテ―ルにして大きなリボンを付けた女性。腰には狛犬さんのようにレイピアを差している。レジーナさんは金髪のショートヘアに菖蒲の花のかんざしをつけ、腰には鞭を装備している。二人とも東京の屋敷で家事及び警備をしている。俺も本気出さないとね。


 スタンバトンを取り出し東条さんの方へ走る。この二人に待ちの体制は危ないからね。


カン カン カン


 東条さんからレイピアの突きが飛んでくる。もちろんスタン効果付き。狛犬さんとは違い一突き一突き鋭さがあり、きちんとはじかないとこちらの体制が崩れてしまい取り押さえらてしまう。防戦一方だと危ないのでこっちもスタンバトンを上段斬りで切りつける。


「!」


 俺の振りの鋭さに驚いた東条さんは体を傾けることで避ける。そこへ下段からの切り返し。今度はレイピアでうまくはじく東条さん。そのまま打ち込み応酬を繰り返す俺たち。


スッ


 背後から何かを振る音が聞こえる。慌ててその場を横に飛びかわす。


バチン


 さっきまでいた場所にレジーナの鞭の一撃が飛んでくる。なるべく東条さんに近づいて彼女の接近の時間を稼いでいたがどうやら鞭の届く範囲に近づかれたみたいだ。でもこれはチャンス。今度はレジーナの方に今まで見せていないダッシュで駆け寄る。鞭を引き戻すには時間がかかるし、彼女も俺の移動速度を読んで攻撃しているはず。でも今まで見せたことない速度で近づいたので彼女の意表をついて一気に近づくことができた。でも安心してはいけない。


ヒュッ


 近づくのを止め動きを止める。すると俺の鼻先を彼女の右足の前下蹴りが通り過ぎる。レジーナさんはムチ捌きだけでなく空手も得意。ムチ捌きだけだと誤解して不用意に近づくと蹴りや突きで意識を刈り取られる。前蹴りをかわされたレジーナさんはスカートで俺の視界を防ぎ次の攻撃の挙動を隠す。足の動きから蹴りはなし、となると・・

 スカートのブラインドが終わり飛んでくるのは右の突き。合気道で力をそらしながら左わきに向けて回し蹴り。しかしレジーナさんは左腕でガード。しかし威力は完全に受けきれず少し飛ばされる。その先にいたのは


「レジーナ!」


 こっちに迫っていた東条さん。二人は衝突し動きを止める。よし。うまくいった。その隙を逃さず彼女たちとは反対方向に駆け出し逃げる。ずっとあの二人と戦い続けると体力はすぐに底をつくからね。


 それから時間は過ぎ10時55分ごろ、メイド隊たちを撒きながら千光寺へと続く道へ移動すると物陰から誰かが出てくる。


「これはこれは婚約者候補の皆さん」


 出てきたのは6人の婚約者候補の女の子たち。その中から一人の女の子が話しかけてくる。


「広島県ぶりですね」

「新庄さんだよね」

「名前覚えてくれてたんですね。雄一さん達と話をして5分間界君にみんなで自己紹介する時間をもらったんです」

「ふーん、どこかに誘導されている気はしてたけど母さんたちはあきらめたのかな?それか(俺が)逃げられないとでも思っているのか。まあどっちでもいいけど。せっかく時間を取ってもらったからね、自己紹介受けるよ」


 周りにはカメラも回っている。これならメイド隊も襲ってはこないだろう。周囲への警戒は解かないけどね。


「では改めて私の名前は新庄暮葉、高校一年生。東京に住んでて趣味は食べ歩き。大会に出たのは親の勧めだったけど今は界君と友達になりたいと思ってるよ。私は広島で少し話したことがあるから、自己紹介はここまで」


 次に前に出てきたのはテレビで見るTHE令嬢って雰囲気の女の子。


「初めまして、私の名前は天草里緒菜と言います。年齢は16歳の高校一年生。趣味は花嫁修業を少々、ずっとお会いしたかったです、界様」

「どっかで会ったことあったっけ?」

「いえ、私の母は撫子おば様とは姉妹の関係でして、よくおばさまが見ていた真柴家で生活している界様のビデオを一緒に見てたんです。その様子に一目ぼれしました」

「そうなんだ」


 次に前へ出てきたのは俺が知っている人物。


「私の名前は真柴由利、年齢は15歳の中学3年生。趣味はウィンドウショッピング、好きな食べ物はイチゴ。久しぶり、お兄ちゃん」

「由利も参加してるんだね」

「うん。だってずっとお兄ちゃんと恋人になりたかったんだもん。でも兄弟だから諦めていたんだけど血がつながってないことが分かったんだよ?ならガンガン責めないと。私含め真柴家のみんなはお兄ちゃんが何で家出したかは何となくわかってるよ。最後にこれからは妹じゃなくて女の子としてガンガンアピールするから覚悟しててね」


 次に前に出てきたのは銀髪の小柄な女の子。

 

「森崎寧々よ。親が勝手に推薦して大会に参加したわ。あなたにはそこまで興味はないわ」

「はぁ、じゃあ、なんでここにいるの?」

「私、負けず嫌いなの。親に勝手に参加させられたからって全力を出さずに負けるのは嫌だったのよ」


 強気な子だな。森崎さんはそれだけ言い残すと後ろに下がる。次に前に出てきたのは金髪をツインテールにした女の子。瞳は青色で顔の造形から外国人かな?


「はーい、カイ。ワタシはアリシア・雷華・バルムート、アリシアって呼んでね。年齢は18歳、グランマが日本人でずっと日本に興味があったの。パパたちからはいつでも辞退してもいいって言われてたんだけど家出した後の君を見て興味がわいちゃった」

「興味?」

「うん。家出もそうだけど今まで逃げ切っている知力や今日見せてもらった戦闘力も今まで見たどの男の子より魅力的だったよ」

「それはどうも」


 アリシアは最後にバチンとウインクしてくると後ろに下がる。最後に出てきたのは艶やかな赤髪をポニーテールにした女の人。日本人じゃないのはわかるけどどこ出身だろう?


「初めまして、私の名前はシャルロット・ジークハイド。騎士の一族ジークハイド家の娘の一人です。父様・母様の恩を返すためこの大会に参加しています」

「恩?」

「はい。昔、雄一様達に事業の危機を救っていただきました。そのお陰もあり私もここまで成長できたので、界様の伴侶となり支えたいと思ったのです」

「ふーん。ボソ(自分のことはどうでもいいと、つまらないヤツ)」

「何か?」

「何もないですよ。まあ知ってると思うけど俺の方からも自己紹介するか。突然親が変わって生活が変わった名取界です。みんなも親の勝手か自分自身で参加したかは知らないけどあと5か月したら俺の婚約者候補からは解放されるからそれまでは我慢してよ。さて、まだ2分ぐらい時間はあるね。せっかくだし俺を捕まえてみる?そうだな・・みんなならこの手首のリストバンドを取れたら捕まってあげるよ」


 そう提案すると森崎さん以外は俺のリストバンドを奪おうと向かってくる。2分後俺の前には地面に腰を下ろす婚約者候補の女の子たち。周りからは見守っていたメイド隊がある二人以外俺に近づいてくるが


バシン


 メイド隊の前をムチがたたきつけられる。


「優先順位が違うでしょ!まずはお嬢様たちの体調を優先しなさい」


 東条さんの怒声がメイド隊にたたきつけられる。その顔はメイド達たちを厳しくにらみつけている。隣に立つレジーナさんも一緒だ。


「さすがマスターランクの二人。じゃあ俺は先に父さんたちのもとに向かうね」


 二人に声をかけると俺は千光寺に向かう。背後では東条さん・レジーナさんがメイドたちに指示を出して婚約者候補の女の子たちの様子を見ている。


「こうやって顔を合わせるのは2か月ぶりかな?二人とも」

「「界!」」


 近くの樹木を利用して二人の前に降り立つ俺。二人の周りにはメイドたちやテレビクルーもいる。それらには目を向けず俺は二人をにらみつけながら言いたいことを言う。


「メイド隊、たるんでるんじゃないの?さっき婚約者候補が動けないのにマスターランクの二人以外俺の捕獲を優先してたよ?あの様子だともし俺を追跡中人が倒れていても無視しそうだよ?まさか二人の指示?」

「それは違う」

「ふーん。じゃあ俺は少し下で東条さん達が来るのを待ってあげるわ」

「待って、界」


 同じように気から降りようと飛び移ると撫子さんが話しかけてくる。


「どうして逃げるの?不満があるなら教えて?」

「はぁー、今更それを聞く?子供じゃないんだからちゃんと考えなよ?俺と深くかかわったことがある真柴家のみんなや一郎爺ちゃんたちはわかってるよ。それがわからないなら話し合っても何の解決もしないよ」


 最後にそう言い放つと千光寺の入り口で待つ。5分後


「お待たせしました。界様」


 東条さん・レジーナさんが狛犬さん含めメイド隊を数人連れやってくる。


「みんなは?一応怪我がないように力加減はしたけど」

「多少の疲労はありますが少し休めば大丈夫です。現在も他のメイド隊に様子を見させています」

「それはよかった。じゃあ最後の勝負と行こうか。約束の2時間は過ぎたから俺も本格的に逃げるよ。捕まえられるなら捕まえてみな」


 そして森の中に走りこむ。雄一さん達もバカではないから俺の実力もかんがみて俺が逃げ出さないようにメイド隊で道路や電車・船などの交通機関に乗らないように展開している。場所を教えたら対策するのは当たり前。でもまだ甘い、森側は配置していない。さすがに森には逃げないと思われてるみたい。

 

 東条さん達も追いかけてくるが森は俺のテリトリー、少しずつメイド隊を放していく。森の中だと空からヘリコプターやドローンなどでは監視がしにくいから目視に頼るしかない。でもこのまま時間をかけると他のメイド隊が追い付いてきて捕まってしまう。なのでさっさと逃走ルートに逃げ込もう。事前に調査していた洞窟の中に入る。ちゃんと入り口付近に隠していたバッグは確保してね。洞窟の中は真っ暗だがさっき回収したバッグから暗視ゴーグルを取り付けてぐんぐん進む。追いかけてきた東条さん達も持っていたライトで洞窟内を照らし進むがその歩みは遅い。その隙に洞窟奥の水たまりについた。この水たまり実は底が深い。バッグに入っている小型水中ボンベを咥え水たまりに飛び込む。


ちゃぽん


 水中は真っ暗だがこの暗視ゴーグル水中にも対応しておりばっちり見える。水たまりの底を進んでいくとどこかへつながる巨大な穴が続いている。この穴を進めば向かいの洞窟内の水たまりにつながる。これも事前に確認済み。ただし距離は長く5分は泳いでいないといけない。そのための水中ボンベ。


「ぷはぁ」


 水たまりから顔を上げ息を整えながら岸に上がる。時折後ろを振り向いたけど追いかけてくる雰囲気はなかった。洞窟内に用意していた服に着替え髪をタオルで拭きながら洞窟出口につくと


「お疲れ様です、界様」

「荷物預かるわ」

「無事帰ってきたよ」


 クロエさん・ロアが待っていた。


「向こうの動きは?」

「界様を完全に見失ったので探索範囲を尾道周辺に切り替えたようです」

「逃走経路は大丈夫そう?」

「大丈夫よ。まだ探索網は完成していないから」

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