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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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北へ

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

老人は。


門を見つめたまま。


静かに頷く。



「巡礼路では。」


「初めてではございませぬ。」



「私は。」


「同じような出来事を。」


「見たことがございます。」



風が吹く。



誰もが。


言葉を失っていた。



レオンが。


静かに尋ねる。


「……いつだ。」



老人は。


目を閉じる。


「私が。」


「まだ若かった頃でございます。」



少しだけ。


視線を落とす。


「私の知ることは。」


「そこまででございます。」



「ですが。」



皆が。


老人を見る。



「北には。」


「旧王国の記録を。」


「今も守り続ける方々が。」


「おられます。」



「私より。」


「詳しい方も。」


「おられるでしょう。」



その時だった。



ゴゴゴゴゴ……。



地面が揺れる。



ドルガンが。


顔を上げる。


「何だ?」



轟音。



巡礼路の奥。



鐘楼が。


大きく軋んだ。


石壁に。


亀裂が走る。



「まずい!」


レオンが叫ぶ。



次の瞬間。


鐘楼が。


崩れた。



轟音。


土煙。



石が。


雪崩のように落ちる。



入口は。


完全に埋まった。



誰も。


動けない。



俺は。


崩れた鐘楼を見る。



あの部屋。


壁画。


本。



全部。


失われた。



クレイスが。


静かに言う。


「現場は失われました。」



「これ以上。」


「ここで検証することはできません。」



老人を見る。


「ですが。」



「北には。」


「まだ調べる術があります。」



少しだけ。


考え。


静かに。


結論を告げた。



「私は。」


「北部へ向かいます。」



誰も。


口を開かない。



「エイゼンシュタイン。」


俺を見る。


「君にも。」


「同行してもらいます。」



「今回の出来事は。」


「君自身に関わっています。」


「君がいなければ。」


「この調査は成り立ちません。」



俺は。


崩れた鐘楼を見る。


もう。


戻れない。



なら。


答えを。


探しに行くしかない。



小さく。


頷いた。



レオンが。


短く言う。


「俺も行く。」


「最後まで。」


「見届ける。」



リシェルが。


迷わず頷く。


「私も。」


「シュトックと。」


「一緒に行きます。」



その時だった。



「……なら。」



低い声。



ケッヒル大佐だった。



腕を組み。


しばらく考える。



やがて。


アルスを見る。



「アルス。」


「第七軍は。」


「お前が預かれ。」



アルスの目が。


大きく開く。


「大佐……。」



「異論は認めん。」


短く。


それだけだった。



アルスは。


深く敬礼する。


「了解。」



その様子を見ていた。


グリードが。


口元を緩める。


「面白ぇ。」


「ここまで来たら。」


「最後まで付き合うぜ。」



ヴェルナが。


ため息をつく。


「……まったく。」


「放っておけるわけ。」


「ないじゃない。」



ルーが。


くすりと笑う。


「旅は。」


「賑やかな方が。」


「楽しいものよ。」



誰も。


もう。


迷ってはいなかった。



俺は。


崩れた鐘楼を。


最後に見上げる。



鐘は。


もう鳴らない。



だけど。


あの声だけは。


今も。


胸の奥に残っていた。



『おかえり』



俺たちは。


北へ向かう。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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