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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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目覚め

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

暗かった。



遠くで。


誰かの声がする。



聞き覚えがある。


優しい声。


必死な声。



「……トック」



聞き取れない。



「シュトック!」



今度は。


はっきり聞こえた。



俺は。


ゆっくり目を開く。



白い。


空。



違う。


天幕。


軍用の布。


見慣れた天井だった。



ぼやけた視界。



その向こう。


泣きそうな顔。


リシェル。



「……シュトック?」


声が震えていた。



俺は。


瞬きをする。



頭が重い。


身体も。


まるで。


何日も眠っていたみたいだった。



「……リシェル?」



言った瞬間。


リシェルの顔が崩れた。



「よかった……」



涙。


ぽろぽろ落ちる。



「本当に……」


「よかった……」



次の瞬間。


胸に飛び込んできた。



柔らかい。


暖かい。



でも。


頭が回らない。



「え?」



それしか出なかった。



テントの端。


クレイスがため息をつく。


「起きたか」



その隣。


シンもいる。


腕を組み。


無言。



だけど。


少しだけ。


肩の力が抜けていた。



「……どれくらい寝てた?」



クレイスが答える。


「半日だ」



半日?


そんなに?



俺は起き上がろうとして。


頭を押さえる。



ズキッ――。



鐘。


雪。


壁画。


白い外套。



『おかえり』



思わず息を呑む。



夢?



違う。


あまりにも。


鮮明だった。



「どうした?」


クレイス。



俺は首を振る。



「いや……」



言えるわけがない。



レオン達といた。


地下へ降りた。


壁画を見た。



頭の中で。


知らない奴が喋っていた。



そんな話。


誰が信じる。



その時。


外から声。


兵士。



「第七軍」


「前線の再編が完了しました!」



クレイスが幕を開ける。



光。



俺も外を見る。



巡礼路。


相変わらず。


巨大な門は開いている。



黒甲冑。


動かない。


白甲冑も。


剣を下ろしたまま。



まるで。


時間が止まったみたいだった。



だけど。


兵たちは動いている。



慎重に。


少しずつ。


前へ。


門の内側へ。


陣地を広げていた。



誰も。


何が起きたのか分からない。



だから。


止まらない。



少しずつ。


確実に。


押し上げる。


それが軍だった。



俺は門を見る。


黒い門。


開いたまま。



その向こう。


何かが待っている。


そんな気がした。



「レオン達は?」



気づけば。


そう聞いていた。



クレイスが眉をひそめる。


「突破隊か?」



頷く。



クレイスは門を見る。


「まだ戻っていない」



嫌な予感。


胸がざわつく。



あの地下。


あの壁画。


あの声。



全部。


夢じゃない。


そんな気がしていた。




外がなんだか騒がしい。


テントの入口を見る。



兵士たちの向こう。


老人だった。



あの老人。


門を見ている。


ずっと。


動かない。



俺は眉をひそめる。


何を見ている?



その時。


老人が。


ゆっくりこちらを向いた。



視線が合う。



老人の目が。


大きく見開かれる。


まるで。


何か信じられないものを見たみたいに。



そして。


深く。


頭を下げた。



ええっ。


なんで?

ここまで読んでいただきありがとうございます!


少しでも面白いと思っていただけたら、


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