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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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邂逅

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

嫌な汗が。


止まらなかった。



「おい」


ドルガンが近づく。


「顔色悪ぃぞ」



「……平気」


平気なわけがない。



俺の身体じゃない。


知らない場所。


知らない記憶。



なのに。


どこか。


懐かしい。


それが。


何より気持ち悪かった。



壁画を見る。



長い髪。


白い外套。


俺に似ている。



違う。


俺じゃない。



なのに。


目が離せない。



レオンが隣に立つ。


「知っているのか?」



「知らない」


即答。



……のはずだった。



その瞬間。



頭の奥。


知らない声。


『嘘だ』



ゾクリとした。



俺は振り返る。


誰もいない。



ドルガンが首を傾げる。


「どうした?」



「今」


言いかけて。


止まる。



言えるわけない。


頭の中で。


知らない奴が喋ったなんて。



レオンが壁画を見る。


「昔の英雄か」


「あるいは」



少し考える。


「聖潮国の王族」



フィオが首を振る。


「でも」


「白甲冑と黒甲冑」


「両方いるよ?」



確かに。



白甲冑。


黒甲冑。


そして。


中央の男。



まるで。


二つの勢力が。


一人を巡って争っているみたいだった。



嫌な胸騒ぎ。



その時。


また。



ズキッ――。



痛み。



違う。


今度は。



景色。


雪。


巡礼路。


白甲冑が並ぶ。



その中央。


誰かが笑っている。



白い外套。


長い髪。



俺だ。


違う。


俺じゃない。



なのに。


俺は。


その男の名前を。


知っていた。



『シュトック』



声がした。


俺の声。



違う。


俺より。


少し低い。



懐かしい声。


『最初の』


『シュトック』



「っ!!」



気づくと。


壁画から飛び退いていた。


息が荒い。



ドルガンが驚く。


「お、おい!」



フィオも。


ルーも。


心配そう。



レオンだけが。


じっと。


俺を見ている。


「思い出したのか?」



首を振る。



違う。


思い出してない。


でも。


知っている。


そんな感覚。



壁画の男。


その顔だけが。


どうしても。


見えない。



見えそうになるたび。


頭が痛む。



知らない方がいい。


本能が。


そう叫んでいた。



その時。



ガタッ――。



鐘楼の奥。


崩れた壁の向こう。


暗い通路。



そこから。


風が吹いた。


冷たい。


雪の匂い。



そして。


誰かの声。



『来い』



低い声。


優しい声。


懐かしい声。



ドルガンが眉をひそめる。


「聞こえたか?」



レオンも。


剣へ手をかける。



アルスが。


珍しく真面目な顔をした。


「……人ですね」



俺は。


暗い通路を見る。



胸が。


痛い。


怖い。



でも。


行かなきゃいけない。


そんな気がした。



俺は。


まだ知らない。



その通路の先で。


自分の名前を。


もう一度。


疑うことになるなんて。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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