四回目
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ゴォォォォォン――。
鐘が鳴る。
黒甲冑が。
杭を握る。
カイゼルが笑った。
「右脇、ねぇ」
剣を肩へ。
「外したら恨むぞ」
シンは答えない。
黒甲冑だけを見ている。
静か。
あまりにも。
静かだった。
次の瞬間。
黒甲冑が消える。
一撃目。
杭。
カイゼルが跳ぶ。
ドォォォン!!
石畳が砕ける。
破片が宙を舞う。
「一!」
グリードが叫ぶ。
二撃目。
横薙ぎ。
カイゼルが屈む。
風圧。
後ろの白甲冑が吹き飛ぶ。
「二!」
三撃目。
突き。
速い。
さっきより。
さらに。
カイゼルの頬が裂ける。
血。
でも。
避けた。
「三!」
グリードの声は。
少し掠れていた。
シンの目が。
わずかに細くなる。
「来る」
カイゼルが笑う。
「来いよ」
黒甲冑が止まる。
杭を引く。
低く。
腰を落とす。
クレイスが顔を上げた。
「構えが――」
違う。
シンが一歩出る。
「今」
黒甲冑が踏み込む。
速い。
だけど。
本当に。
右脇。
ほんの僅か。
装甲が浮いた。
カイゼルが笑う。
「マジかよ!」
踏み込む。
剣。
一閃。
ガギィィィィン!!
火花。
黒い破片。
右脇。
明確に。
裂けた。
全員が息を呑む。
入った。
初めて。
黒甲冑へ。
傷が入った。
カイゼルが着地する。
笑う。
「おいシン!」
「見えてんじゃねぇか!」
シンは首を振った。
「癖だ」
短く。
それだけ。
黒甲冑が。
止まっていた。
裂けた右脇。
その奥。
暗い。
穴みたいだった。
肉も。
血も。
見えない。
クレイスが呟く。
「……何もない?」
分からない。
誰にも。
黒甲冑が。
ゆっくり。
顔を上げる。
怒っている。
そんな気がした。
その時。
ゴォォォォォン――。
鐘。
いつもより。
短い。
シンが顔を上げる。
クレイスも。
老人も。
全員。
門の奥を見る。
ゴォ……
音が。
途切れた。
黒甲冑が。
止まる。
杭を持ったまま。
動かない。
グリードが目を見開く。
「え?」
白甲冑も。
止まった。
風だけが吹く。
老人が震える。
「鐘が……」
掠れた声。
「止まりかけている……」
レオンたちは。
まだ戻っていない。
俺は。
門の奥を見る。
あの向こうで。
何が起きている?
黒甲冑が。
初めて。
門の奥を見た。
そして。
ほんの僅か。
後ずさった。
シンが呟く。
「始まった」
何が。
そう聞く前に。
鐘が。
完全に。
止まった。
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