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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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譲れない

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

黒甲冑が。


消えた。


そう見えた。



次の瞬間。


カイゼルの前。


杭が振り下ろされる。



「っ!」



カイゼルが跳ぶ。


間に合わない。



ドォォォン!!



石畳が砕けた。


破片が舞う。


カイゼルが吹き飛ぶ。


転がる。


起き上がる。


速い。



でも。


顔色が変わっていた。


「は?」


初めて。


本気で驚いた顔。


「速すぎだろ」



黒甲冑は止まらない。


二撃目。


横薙ぎ。


カイゼルが受ける。



ガギィィィン!!



剣が悲鳴を上げた。


足が滑る。


押し負ける。


「くっ……!」



シンが叫ぶ。


「下がれ!」


珍しい。


怒鳴り声。



カイゼルが反応する。



直後。


杭が。


地面を薙ぎ払った。



ドォン!!



石畳が爆ぜる。


破片が。


嵐みたいに舞い上がる。



さっきまで。


カイゼルがいた場所。


そこだけ。


地面が抉れていた。



グリードが青ざめる。


「何だよあれ……」


「人間じゃねぇ」



クレイスが呟く。


「……違和感があります」


銀のレンズ。


黒甲冑を追う。


「速い」


「ですが」


少し考える。


「それだけじゃない」


首を振る。


「説明できません」



黒甲冑が。


止まる。


ゆっくり。


首を傾げた。


まるで。


考えているみたいに。



その視線。


カイゼル。


白甲冑。


そして。


俺。


順番に見て。


最後に。


また。


俺で止まった。



理由もなく。


背筋が寒くなる。



白甲冑が動く。



ザッ――。



俺の前。



さらに。


何体も。


白い鎧。


白い剣。


傷だらけ。


砕けた肩。


割れた胸甲。



それでも。


誰一人。


退かない。



カイゼルが舌打ちした。


白甲冑を見る。


「こいつら」


少し笑う。


「勝てねぇくせに」


「やりやがる」



返事はない。


当然だ。


でも。


誰一人。


退かない。



シンが呟く。


「ああ」



みんなが見る。



シンは。


白甲冑を見ていた。


「本気だ」


短く。


それだけだった。



鐘が鳴る。



ゴォォォォォン――。



黒甲冑が。


杭を持ち上げる。



白甲冑が。


剣を構える。



シンが前へ出た。


いつの間にか。


刀の切っ先が。


黒甲冑へ向いている。



低い声。


「カイゼル」


「三回」


「避けろ」



カイゼルが眉をひそめる。


「四回目は?」



シンが答える。


「右脇」



グリードが顔をしかめる。


「は?」



「開く」


短く。


断言する。


「一瞬だけ」



カイゼルが笑った。


「見えんのか?」



シンは首を振る。


「癖だ」


黒甲冑を見る。


「三回」


「全部同じ」


「四回目だけ」


「違う」



空気が変わった。



グリードが固まる。


俺も。


クレイスも。



シンを見る。


初めてだった。


シンが。


戦いの流れを。


迷いなく言い切ったのは。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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