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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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白き壁

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

ゴォォォォォン――。



鐘の音が響く。



突破隊の背中が。


門の奥へ消えていく。



レオン。


ドルガン。


アルス。


ヴェルナ。


フィオ。


ルー。



振り返らない。


振り返る余裕なんて。


誰にもない。



黒甲冑が。


一歩。


踏み出す。



ドン――。



また地面が揺れた。


俺へ。


真っ直ぐ。



白甲冑が迎え撃つ。


三体。


同時。


白い剣が閃く。


速い。


さっきより。


明らかに。


速い。



黒甲冑の杭が振られる。


轟音。



一体。


吹き飛ぶ。


二体目。


剣を折られる。


三体目。


胸を貫かれる。



なのに。


止まらない。


白甲冑は。


倒れても。


壊れても。


また立ち上がる。



グリードが顔を引きつらせた。


「嘘だろ……」



カイゼルが。


小さく舌打ちする。


白甲冑を見たまま。


「何なんだよ」


「こいつら」



クレイスが首を振る。


「私にも分かりません」


珍しく。


即答だった。


銀のレンズが。


白甲冑を追う。


「生命反応はない」


「ですが」


「明確な意志がある」



白甲冑が。


また俺の前へ立つ。


傷だらけ。


片腕がない。


それでも。


剣を構える。


俺を見ることなく。


黒甲冑だけを見ている。



カイゼルが鼻を鳴らした。


「勝てねぇって分かってんだろ」


白甲冑を見る。


「なのに前に出るか」


少し笑う。


「嫌いじゃねぇ」



グリードが目を丸くする。


「お前」


「そういうの好きだったの?」



「嫌いだ」


即答。



白甲冑が。


また吹き飛ぶ。


壁へ叩きつけられる。


それでも。


立ち上がる。



カイゼルが小さく舌打ちした。


「だからムカつく」



グリードが呆れる。


「どっちだよ」



カイゼルは剣を肩へ担いだ。


「負けるって分かってて」


「前に出る奴は」


少しだけ。


顔をしかめる。


「見てて腹立つ」



俺は思わず。


カイゼルを見る。


前にも思った。


こいつ。


口は悪いけど。


意外と。


いい奴なんじゃないかって。



カイゼルが俺を睨む。


「何見てんだ」



「いや」


慌てて目を逸らす。


「別に」



「気持ち悪ぃ」



何だよそれ。



グリードが吹き出した。



その時。



黒甲冑が。


杭を振り上げる。


狙いは。


俺。



白甲冑が飛び込む。


杭。


剣。


火花。


轟音。


白甲冑が砕ける。



でも。


その一瞬。


黒甲冑が止まった。



シンの目が細くなる。


「今!」


低い声。



カイゼルが飛び出した。


速い。


黒甲冑の懐。


剣。


一閃。



ガギィィィン!!



火花。



黒い装甲が。


ほんの少し。


欠けた。



全員が目を見開く。



カイゼルが笑った。


「悪ぃ」


剣を肩へ担ぐ。


「ちょっと」


「こっち向いた」



黒甲冑。


初めて。


俺から目を離していた。



グリードが叫ぶ。


「おい!」


「エイゼンから目を逸らしたぞ!」



「そうだな」


カイゼルは笑う。


黒甲冑を見る。


「なら」


「少しは時間稼ぎになる」



グリードが頭を抱えた。


「そういう問題かよ!」



「そういう問題だろ」


少しだけ。


口元が上がる。


「非戦闘員は」


「守らねぇとな」



俺は頭数に入ってねぇのかよ。


だけど。


改めてカイゼルを見る。



……やっぱり。


いい奴だ。



カイゼルが俺を睨む。


「何見てんだ」



「いや」


慌てて目を逸らす。


「別に」



カイゼルが。


嫌そうな顔をした。


「気持ち悪ぃ顔すんな」



「してねぇよ!」



グリードが笑う。


その声が。


一瞬だけ。


恐怖を忘れさせた。



黒甲冑が。


杭を握り直す。


狙いは。


カイゼル。



シンが呟く。


「……まずい」



初めてだった。


シンの声に。


焦りが混じったのは。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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