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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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突破

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

錆びた鉄が擦れるような。


低い声。



「――見つけた」



俺のことを。


そう言った気がした。



黒い甲冑が。


また一歩。


前へ出る。



ドン――。



地面が揺れる。



白甲冑が迎え撃つ。


剣。


杭。


火花。


轟音。



でも。


止まらない。


黒い甲冑は。



ただ。


真っ直ぐ。


俺へ向かってくる。



「やはりな」


ケッヒル大佐が呟く。


その声に。


迷いはなかった。



「突破隊」


「レオン」


「ドルガン」


「アルス」


「ヴェルナ」


「フィオ」


「ルー」



レオンを見る。


「鐘を壊せ」


「私はここで指揮を取る」



レオンが頷く。


「了解」



ドルガンがニヤリ。


「ようやく仕事か」



アルスは無言。


細剣をくるりと回す。



ヴェルナが。


ちらりと俺を見る。


何か言いたそうだった。


でも。


何も言わなかった。



「足止め隊」


ケッヒル大佐が続ける。


「シン」


「カイゼル」


「グリード」



そして。


俺を見る。



「エイゼンシュタイン」


「お前もだ」



「は?」


思わず声が出た。


「俺も突破した方が――」



「バカちんが!!」


巡礼路に響く怒声。



思わず背筋が伸びる。



ケッヒル大佐が。


本気で怒っていた。



「あれを見ろ!」


黒甲冑を指差す。



白甲冑が。


また吹き飛ばされる。


それでも。


黒甲冑は。


俺から目を離さない。



「お前が動けば」


「あれも動く!」


「突破隊の後ろへ回られたら終わりだ!」



言葉を失った。



グリードが肩を叩く。


「諦めろ」


「今回は囮役」



「嫌な言い方すんな!」



「事実だろ」



カイゼルが鼻で笑う。


「気にすんな、負傷者」



……うっ、何にも言えねぇ。



抜かれている剣を肩へ担ぐ。


「俺らが死ぬ気で守る」


「だから」


「お前は死ぬな」



……カイゼル。こんなこと言う奴だったんだ。


少しうるっとくる。



その時。


リシェルが。


俺の前へ出る。



「シュトックは」



小さな背中。


だけど。


「私が守ります」



カイゼルが吹き出す。


「お前」


「戦力に入ってねぇぞ」



「うるさいです!」


顔を真っ赤にする。



グリードが笑った。


少しだけ。


空気が軽くなる。



その時だった。



ゴォォォォォン――。



鐘。


巡礼路の奥。


重い音が響く。



シンの顔が変わった。


「急げ」


短い言葉。



レオンが頷く。


「行くぞ」



ドルガン。


アルス。


ヴェルナ。


フィオ。


ルー。


突破隊が駆け出す。



黒甲冑が。


そちらを見る。


ほんの一瞬。



だけど。


次の瞬間。


首が戻る。


俺を見る。


俺だけを。



シンが目を細める。


「やはりな」



ゾッとした。



白甲冑が。



ザッ――。



俺の前へ並ぶ。



一体。


また一体。


さらに。


次々と。


白い壁。



俺を囲むように。


守るように。



クレイスが。


銀のレンズを押し上げる。



「護衛対象はーー」



その声は。


少しだけ震えていた。



「間違いなくエイゼンシュタインです」



黒甲冑が。


杭を持ち上げる。



白甲冑が。


剣を構える。



鐘が鳴る。



突破隊は。


もう門の奥へ消えかけている。



俺は。


剣を握りしめた。



戦えない。


逃げられない。



なのに。


戦いの中心にいる。



聞いてない。


こんなの。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


少しでも面白いと思っていただけたら、


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