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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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83/111

見つけた

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

黒い甲冑が。


杭を持ち上げる。


それだけだった。



なのに。


空気が変わった。



重い。


息苦しい。


胸の奥を。


誰かに掴まれたみたいだった。



老人が膝をつく。


「駄目です……」


掠れた声。



震えている。


黒い甲冑を見て。


心の底から。


怯えていた。



白甲冑が動く。



ザッ――。



一体。


また一体。



さらに。


次々と。


巡礼路に並ぶ。



白い鎧。


白い剣。


その全てが。


黒い甲冑へ向けられていた。



グリードが声を上げる。


「おいおい」


「マジかよ」



ドルガンが鼻を鳴らす。


「へぇ」


笑っていない。



カイゼルも。


珍しく無言だった。



アルスの細剣が。


静かに突きの構えへ入る。



レオンが呟く。


「防衛陣形……?」



クレイスが首を振る。


「違います」


銀のレンズが淡く光る。


「護衛」


その一言だった。



全員が息を呑む。


俺は思わず周りを見る。



白甲冑。



誰も。


俺を見ていない。



だけど。



全員が。


俺の前へ立っている。



守るように。



まるで。


最初から。


それだけのために。



黒い甲冑が。


一歩。


踏み出す。



ドン――。



地面が沈む。



白甲冑が走る。


速い。



一体が斬りかかる。


鋭い一閃。



黒い甲冑は。


避けない。


左腕で受ける。



ガギィィィン!!



火花。



次の瞬間。


杭が振られた。


横薙ぎ。



白甲冑が。


吹き飛ぶ。



鎧ごと。


壁へ叩きつけられた。



強い。


そんな言葉じゃ足りない。



ドルガンが笑う。


今度は。


本当に楽しそうに。


「なるほど」


大剣を構える。


「そういう相手か」



カイゼルが肩を回す。


「面倒だな」



アルスは無言。


細剣の切っ先だけが。


真っ直ぐ敵を捉えている。



シンだけが。


動かなかった。


黒い甲冑を見ている。


いや。


その奥。


門の向こうを見ていた。



フィオが呼ぶ。


「シン?」



返事はない。



ルーが首を傾げる。


「どうしたの?」



シンが小さく呟く。


「違う」



全員が振り向く。



シンの目は。


門の奥から離れない。



「倒すのは」


低い声。


「こいつじゃない」



レオンが眉をひそめる。


「何?」



シンは答える。


迷いなく。


「あの鐘だ」



空気が止まった。



ゴォォォォォン――。



まるで。


答えるみたいに。


鐘が鳴る。



老人が顔を上げた。


目を見開いている。



「そうです……!」


掠れた声。


「鐘を!」


「鐘を止めれば!」



ケッヒル大佐が。


初めて頷いた。


「やはりそうか」



全員が振り向く。



グリードが叫ぶ。


「知ってたのかよ!?」



ケッヒル大佐は答えない。


黒い甲冑を見たまま。


短く言う。


「第7」


低い声。


だけど。


全員に届く声。


「突破隊と足止め隊に分ける」



巡礼路の空気が変わった。



戦い方が決まった。



黒い甲冑を倒すんじゃない。


突破して。


鐘を壊す。



俺は思わず門を見る。


鐘。


あの音。


あれが。


全部の元凶?



黒い甲冑が。


ゆっくり。


こちらを向く。


顔は見えない。


目もない。



なのに。


分かった。


見られている。



錆びた鉄が擦れるような。


低い声。



「――見つけた」



俺のことを。


そう言った気がした。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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