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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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守護

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

門の奥。


金属音が近付いてくる。



カシャン。


カシャン。



規則正しい。


聞いているだけで嫌な音だった。



白甲冑とは違う。


重い。


もっと。


底冷えするような音。



老人が震えていた。


目を見開いたまま。


門の奥だけを見ている。



「来る……」


掠れた声。


「来てしまった……」



レオンが剣を構える。


ドルガンも。


カイゼルも。


アルスも。



誰も喋らない。


いつもの軽口が消えていた。



アルスの細剣が、ゆっくりと正中へ戻る。


無駄のない構え。


微笑んでいない。


本気の表情だ。



シンが門を睨んでいる。


汗が一筋。


頬を伝った。



フィオが驚く。


「シン?」



返事がない。



ルーが小声で聞いた。


「何がいるか分かるの?」



しばらく沈黙。


そして。


シンが小さく首を振った。


「分からない」



思わずシンを見る。



あのシンが。


緊張してるのを見たのは初めてだった。



門の奥。


闇が揺れる。



ゆっくり。


何かが姿を現した。



黒。



真っ黒な甲冑。



だけど。


違う。


前に見た黒甲冑じゃない。



大きい。


二メートルはある。


肩には。


折れた王冠の紋章。



右腕は。


剣じゃない。



巨大な杭。



鉄塊みたいなそれを。


地面へ引きずっている。



ギギギ……。



嫌な音が響く。



俺の背中に寒気が走った。



あれは。


武器じゃない。



処刑具か何かだ。



老人の唇が震える。


聞き取れたのは。


ただ一言。



「王殺し……」



ケッヒル大佐だけが。


目を細めた。



老人を見ている。


その横顔が。


少しだけ遠く見えた。



シンが呟く。


「こいつは……」



全員が振り向く。



シンの目は。


黒い甲冑を見ていた。



低い声。


「俺たちを見てない」



レオンが眉をひそめる。


「何?」



シンは答える。


迷いなく。



「エイゼンシュタインだけを見ている」



思わず黒い甲冑を見る。



顔なんて見えない。


目も。


表情も。


分かるはずがない。



なのに。


なぜか。


見られている気がした。



その瞬間。



ザッ――。



前へ出たのは。


白甲冑だった。



一体。


また一体。


さらに。


次々と。



俺と。


黒い甲冑の間へ並ぶ。



剣を抜く。


白い刃。


一斉に。


黒い甲冑へ向けられる。



グリードが目を見開く。


「お、おい……」


「嘘だろ」



ドルガンも笑っていない。



カイゼルが舌打ちする。


「チッ」



レオンは剣を構えたまま。


白甲冑たちを見ている。



白甲冑は。


俺を見ない。


第7も見ない。


黒い甲冑だけを見ている。



守っている?



そう思った。


思った瞬間。


頭の奥が痛む。



ズキッ――。





白い旗。


雪。


吹き荒れる風。



白甲冑たち。



その中央。


誰かが立っている。



見えない。


顔が。



どうしても。


見えない。



『守れ』


声が聞こえた。



男の声。


低い。



だけど。


不思議なくらい懐かしい。



『最後まで』




知らない。


知らないはずだ。



なのに。


胸の奥が熱くなる。





現実へ戻る。



老人の目が。


俺へ向く。



「いけません……」



掠れた声。


震える唇。



何かを伝えようとしている。


それだけは分かった。



だけど。


言葉にならない。


そんな顔だった。



黒い甲冑が。


ゆっくりと。


杭のようなものを持ち上げる。



白甲冑たちが。


一歩。


前へ出た。



そして。



巡礼路に。


白と黒が対峙した。



鐘の音だけが。


遠くで鳴っていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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