開かれた道
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ゴォォォォォン――。
鐘が鳴る。
第7は巡礼路へ踏み込んだ。
同時だった。
白甲冑の群れが動く。
「来るぞ!」
グリードが叫ぶ。
霧の中から。
白い甲冑が次々と飛び出してくる。
数が違う。
さっきまでとは比較にならない。
まるで巡礼路そのものが白甲冑を吐き出しているみたいだった。
「前衛維持!」
レオンの声が響く。
銀の剣が閃く。
先頭の白甲冑が吹き飛ぶ。
後ろから次が来る。
さらに次。
終わりが見えない。
「ガハハハハ!!」
ドルガンが笑った。
大剣が唸る。
轟音。
まとめて数体の白甲冑が吹き飛んだ。
木々が折れる。
地面が抉れる。
……それでも減らねぇ。
「面倒だ」
カイゼルが舌打ちする。
次の瞬間。
姿が消えた。
白い群れの中を黒い影が走る。
遅れて。
白甲冑が崩れ落ちた。
速ぇ。
何をしたのか見えない。
「数が多いな」
アルスが静かに言った。
細剣が閃く。
関節。
継ぎ目。
急所だけを正確に貫いていく。
一体。
また一体。
無駄がない。
ただ斬るんじゃない。
最も効率よく壊している。
その横で。
シンが白甲冑を両断した。
……なのに。
次を見ていない。
もっと奥。
霧の向こうを見ていた。
「シン!」
フィオが叫ぶ。
シンは答えない。
その目だけが細くなる。
「違う」
小さな声だった。
ルーが振り向く。
「何が?」
「こいつらじゃない」
シンは巡礼路の奥を見ている。
「見ている」
ぞくりとした。
何を。
聞こうとした時だった。
白甲冑の一体が。
俺へ向かってきた。
反射的に剣を構える。
来る。
そう思った。
……なのに。
止まった。
目の前で。
ぴたりと。
「……は?」
思わず声が漏れる。
白甲冑は動かない。
剣も振らない。
ただ。
俺を見ていた。
後ろの一体も。
さらにその後ろも。
全部だ。
「おい!」
グリードが叫ぶ。
「なんでだ!?」
「俺が知るか!」
本気で分からない。
白甲冑は俺を囲む。
なのに。
襲ってこない。
なんなんだよ。
俺を見てる。
まるで。
何かを確かめるみたいに。
アルスの目が細くなる。
「エイゼン君を避けているんじゃないの」
レオンが振り向く。
「何?」
「エイゼン君に近付けないんだよ」
レオンが白甲冑を見る。
そして。
もう一度俺を見た。
クレイスの銀のレンズが光る。
「やはり……」
小さな呟きだった。
ケッヒル大佐は振り返らない。
最初から分かっていたみたいに。
鐘の鳴る場所だけを見ている。
「進め」
低い声だった。
レオンが眉をひそめる。
「白甲冑は」
「無視しろ」
即答だった。
意味が分からない。
こんな化け物を無視しろっていうのか。
その時だった。
白甲冑たちが動く。
全員が構えた。
来る。
そう思った。
……違う。
攻撃じゃない。
左右へ分かれていく。
まるで。
道を開くみたいに。
巡礼路の中央。
霧の奥へ続く一本道が現れた。
誰も動かない。
いや。
動けない。
ドルガンでさえ笑っていなかった。
カイゼルも無言だった。
グリードが震えた声を出す。
「おい……」
「なんだよこれ……」
俺も同じ気持ちだった。
理解できない。
でも。
白甲冑は襲ってこない。
ただ。
道の両側に並んでいる。
まるで。
誰かを迎えるみたいに。
シンがぽつりと言った。
「待っていた」
ゴォォォォォン――。
鐘が鳴る。
霧の奥。
巨大な影が。
ゆっくりとこちらを向いた。
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