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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

巨大な影が立ち上がる。


霧の奥。


巡礼路の最深部。


鐘の鳴る場所だった。



ゴォォォォォン――。



重い音が響く。



そのたびに。


白甲冑たちが動く。


まるで。


命令を受けているみたいに。



「大佐!」


レオンが叫ぶ。


「どうします!」



ケッヒル大佐は答えない。


ただ。


霧の奥を見ていた。



巨大な影。


鐘。


白甲冑。


その全てを。



やがて。


低い声が響く。


「鐘を止める」



グリードが目を剥き、思わず叫ぶ。


「は?」


「止めるって、どうやって!?」


「白甲冑がいるんすよ!?」



……俺もそう思った。



だけど。


ケッヒル大佐は変わらない。


「白甲冑は囮だ」


静かな声だった。



その一言で。


空気が変わる。



クレイスの銀のレンズが光る。


「やはり、そう考えますか」



ケッヒル大佐は頷かない。


否定もしない。



クレイスが続ける。


「白甲冑は鐘が鳴るたびに反応している」


「つまり主導権は、鐘の側にある」


「ならば原因は――」



「後だ」


低い声。



クレイスが口を閉じる。



「今は止める」



その言葉に。


クレイスの眉がわずかに動いた。



分かる。


納得していない。


この人は理由を知りたい。



でも。


ケッヒル大佐は違う。


理由より先に。


最悪の結果を止めようとしている。



兵士が震えていた。


リシェルが肩を支えている。


ヴェルナも傍にいる。



それでも。


兵士の震えは止まらない。



「鐘を……」


掠れた声。


「止めないと……」



全員が振り向く。



兵士の顔は真っ青だった。



「何が起きる」


レオンが聞く。



兵士は答えない。



いや。


答えられない。


唇が震えている。



まるで。


思い出したくもないものを思い出しているみたいに。



ゴォォォォォン――。



鐘が鳴る。



兵士が悲鳴みたいな声を上げた。


「門が開く!」



「門?」


ミオが呟く。



兵士は必死に頷いた。


「あそこだ……」


「巡礼路の奥だ……」


「開くんだ……」



グリードが顔をしかめる。


「だから何の門だよ」



兵士の目が見開かれる。


恐怖。


そのものだった。



「知らない」


「誰も知らない」


「でも……」


兵士の声が震える。


「開いた」



その瞬間だった。



頭の奥が痛んだ。



ズキッ――。



視界が揺れる。



白い霧。


鐘の音。



誰かの声。


『シュトック』


『またいなくなる』



胸の奥がざわつく。


何だ。


何なんだ。


どうして。


鐘の音を聞くたびに――。



「シュトック!」


リシェルの声。



気付くと。


俺は膝をついていた。



「大丈夫!?」



「……ああ」


ほんとは全然大丈夫じゃない。


だけど。


説明できる気もしなかった。



クレイスがこちらを見ている。


銀のレンズ。


あの目だ。


何かを考えている目。


でも。


今は何も言わない。



その時。


霧の奥で。


巨大な影が動いた。


一歩。


地面が揺れる。



白甲冑たちが一斉に頭を垂れた。


まるで。


主へ跪くみたいに。



鐘が鳴る。



ゴォォォォォン――。


ゴォォォォォン――。


ゴォォォォォン――。



ケッヒル大佐は微動だにしない。


その視線は最初から変わらない。


鐘の鳴る場所。


巡礼路の奥だけを見ていた。



「進むぞ」



その一言で。


第7は巡礼路へ踏み込んだ。



胸の奥がざわつく。


理由は分からない。



だけど。



あの鐘は。


どこかで聞いた気がした。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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