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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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白甲冑

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

鐘が鳴る。


低く。


重く。


腹の底まで響く音だった。



ゴォォォォォン――。



その音と同時だった。


白甲冑たちが、一斉に動く。



「来るぞ!」


グリードが叫んだ。



霧の向こう。


白い影が雪崩れるように迫ってくる。


速い。


思ったよりずっと速い。


前に戦った時の一体とは違う。


数がいる。



十。


二十。



いや。


霧の奥には、まだ見えていない影がある。



ケッヒル大佐の声が飛んだ。


「前衛!」



その一言だけだった。


でも、第7は即座に動く。



レオン。


ドルガン。


カイゼル。



三人が前へ出た。


まるで最初から決まっていたみたいに。



先頭の白甲冑が飛び込んでくる。


レオンが剣を振るった。


銀閃。


一撃だった。


白甲冑の首が宙を舞う。



だが。


倒れない。


首を失ったまま。


白甲冑は走る。



「なっ――」



思わず息を呑んだ。



その瞬間。


ドルガンが突っ込む。


「邪魔だァ!」



轟音。


大剣が唸る。


白甲冑がまとめて吹き飛んだ。



三体。


四体。


地面を転がり、木へ叩きつけられる。



だけど。


それでも動いている。


まるで痛みを感じていない。



カイゼルが消えた。


そう見えた。


次に見えた時には。


白甲冑の群れの中にいる。



一閃。


二閃。


三閃。



白い影が次々と崩れていく。


速すぎて見えない。



グリードが呆然と呟いた。


「なんだよあれ……」



アルスが笑った。


「相変わらず綺麗だね」


そう言った本人も動く。



白銀の細剣。


最小の動き。


最短の軌道。



白甲冑の関節だけを正確に貫いていく。


まるで戦っているんじゃない。


解体しているみたいだった。



だけど。


違和感があった。



倒れた白甲冑が。


立ち上がる。



また一体。


さらに一体。



レオンが眉をひそめた。


「おかしい」



ドルガンも笑っていない。


「おいおい」


「勘弁しろよ」



鐘が鳴る。



ゴォォォォォン――。



その瞬間だった。



倒れていた白甲冑が。


また動いた。



まるで。


鐘に呼ばれたみたいに。



クレイスの目が変わる。


銀のレンズが、白甲冑ではなく巡礼路の奥を見ていた。


「……なるほど」


小さな声だった。



けど。


その声をケッヒル大佐は聞いていた。


「気付いたか」



クレイスが顔を上げる。


「まだ確証はありません」


「ですが――」



そこで言葉を切った。


銀のレンズが細くなる。


「何かがあります」


「鐘の向こうに」



ケッヒル大佐は頷いた。


驚きはなかった。


まるで。


最初から分かっていたみたいに。



その時。



白甲冑たちが、一斉にこちらを向く。


全員。


同じ動きだった。


ぞっとするほど揃っていた。



人間じゃない。


兵士でもない。


何か別のもの。



兵士が震える声を出した。


「来る……」


「見つかった……」



リシェルが肩を押さえる。


「大丈夫です」



けど。


兵士は首を振った。


血の気のない顔で。


巡礼路の奥を見ている。


「あれが……」


「あれが起きた……」



鐘が鳴る。



ゴォォォォォン――。



霧が揺れる。



そして。


巡礼路の最奥。


誰もいないはずの場所で。



巨大な影が。


ゆっくりと立ち上がった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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