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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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ローグ・ハイゼン

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

現れたのは。


本軍将軍、ローグ・ハイゼンだった。



黒い外套。


広い肩幅。



その場に立つだけで、装備区画のざわめきが薄くなる。



ローグ将軍は、ゆっくり周囲を見渡した。



ドルガンが酒瓶を下ろす。


カイゼルでさえ、壁から背を離した。



この二人まで。


これがローグ将軍か……。



ローグ将軍の視線が、ケッヒル大佐へ向く。


「第7を出すそうだな」



「はい」


ケッヒル大佐が、短く答える。


「旧アルヴェリア巡礼路です」



ローグ将軍の目が、わずかに細くなる。


「聖潮国か」


低い声だった。



クレイスの銀のレンズが、静かに光る。


「何か気になる点でも?」



ローグ将軍は答えない。



ただ。


ゆっくりこちらへ視線を向けた。


俺を見る。



前に会った時みたいな。


“ガキを見る目”じゃない。


何かを測るみたいな目だった。



……なんなんだ。



ローグ将軍は、結局何も言わなかった。


その沈黙が妙に引っかかった。



リシェルが、俺の手を握る力を少し強めた。


じっと、俺を見ている。



「地図を出せ」


低い声。



本軍兵士が、慌てて巨大な地図を机へ広げる。



南方山岳地帯。


旧アルヴェリア巡礼路。


ヴァルクレインの監視拠点。


その近く、赤印が三つ。


連絡を絶った場所だった。



「警備隊三個班」


ローグ将軍が低く言う。


「生存報告なし」



重い沈黙が落ちた。


さっきまでの、本軍への興奮が消えていく。



……待てよ。



三個班って。


それなりの人数だろ。



「本軍の警備隊が」


「マジかよ……」



クレイスが、静かに口を開いた。


「妙ですね」


銀のレンズが淡く光る。



全員の視線が集まる。



クレイスは、地図の一点を指した。


「消失地点が近すぎる」


「警備隊三個班が、ほぼ同時に襲撃された可能性があります」



レオンの目が細くなる。


「白甲冑が単独なら不可能だ」



「ええ」


クレイスは頷いた。


「つまり――」



「クレイス」


低い声だった。



ケッヒル大佐が、地図へ視線を落としたまま言う。


「推測を先行させるな」



クレイスは、静かに口を閉じた。


だが。


銀のレンズだけは、まだ光っている。



……まただ。



この二人。


見てるものが違う。



ローグ将軍が、地図へ指を置く。


「巡礼路は封鎖する」


「本隊到着まで、第7が先行しろ」



ドルガンが、ニヤリと笑った。


「いいねぇ」


「いつもの死地じゃねぇか」



本軍兵士たちの顔が、わずかに引きつる。



カイゼルは、露骨に舌打ちした。


「面倒だ」



アルスだけは、楽しそうに地図を眺めていた。


「旧巡礼路か」


「遺跡戦になるなら、少し厄介だね」



レオンが、腕を組んだまま聞く。


「白甲冑以外の敵影は?」



「未確認だ」


ローグ将軍が答える。



「妙な話じゃねぇか」


ドルガンが笑みを消す。


「三個班消えて、死体もねぇ」



その瞬間。


装備区画の空気が、少し冷えた気がした。



グリードが、小さく息を呑む。


ミオも、真顔になっていた。



やや離れて、シン、ルー、フィオの三人が黙って聞いていた。



……死体がない?



背筋が、ぞわっとした。


なんなんだよ、それ。



ローグ将軍が、低く口を開く。


「夜明け前に出る」


「第7歩兵隊、南方巡礼路へ進軍」



本軍兵士たちが、一斉に動き始める。


武器の音。


軍靴。


怒号。


第7が、出撃態勢に入る。



夜明け前。


王都ヴァルクレイン南門。


重い門が、ゆっくり開いていく。



冷たい風が吹き込む。


並ぶ軍馬。


集結する第7歩兵隊。



その先。


南方の空だけが。


妙に暗く見えた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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