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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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動き出す影

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

「……俺のことじゃ?」


「完全に置いてかれてるんですけど」



……。



おい。


なんで誰も何も言わないんだ。



ミオが苦笑した。


「私も半分くらいしか分かってません」



おお、だよな。



グリードが頭を掻く。


「いや、正直俺もだ」



アルスまで頷いている。



なぁんだ。


ちょっと安心したわ。



クレイスだけは、資料へ視線を落としていた。


銀のレンズが静かに光る。



「大佐」


低い声。


「王殺しについて、改めて調査を行います」



ケッヒル大佐が、眉一つ動かさず答える。


「好きにしろ」



「ですが」


クレイスは続けた。


「何かを隠しているのであれば――」



「クレイス」


低い声だった。



初めてだった。


ケッヒル大佐が。


クレイスの言葉を遮ったのは。



ケッヒル大佐は、ゆっくり窓の外を見る。


「今追うべきは過去じゃない」


その視線は、王都の南へ向いているみたいだった。


「動いているのは現在だ」



その時だった。



コンコン。


再び扉が叩かれる。



本軍兵士が飛び込んできた。


顔色が悪い。



「失礼します!」


息が上がっている。



嫌な予感しかしない。



レオンの表情が変わる。


「何があった」



兵士は、報告書を差し出した。


「南方国境警備隊より緊急報告です!」



クレイスの目が動く。


ケッヒル大佐も、無言で報告書を受け取った。



兵士が続ける。


「旧アルヴェリア巡礼路周辺で、警備部隊との連絡が途絶えました!」



アルヴェリア。


さっき聞いた国名が、また出る。



兵士の喉が鳴る。


「さらに――」



言い淀む。



レオンが低く促した。


「続けろ」



兵士は、顔を強張らせたまま言った。


「現場へ向かった増援部隊から、“白い甲冑を見た”との報告が」



グリードが息を呑む。



ミオの顔まで青くなっていた。



フィナは、まだ俺の隣にいた。


……そういえば。


いつからこんな近かった?



リシェルは俺の手を握って、回復の光を出しながらずっと俺の顔を見ている。


ずーっと。


そんなに見るかな。



ケッヒル大佐が、ゆっくり立ち上がる。



それだけで。


本軍兵士たちの背筋が伸びた。



「本軍を動かす」


低い声だった。



レオンが目を細める。


「第7を?」



「……ああ」


短い返答。



ケッヒル大佐の視線が、こちらへ向く。


鋭い目。



「エイゼンシュタイン」



「……はい」


「お前も来い」



……は?


俺、怪我治ってないんだけど……。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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