夜風
お読みいただきありがとうございます!
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
地下記録庫を出た時には。
もう、外は夜になっていた。
ひんやりした風が吹く。
……なんか、やっと息できる。
地下の空気、重すぎた。
王城内は、妙に慌ただしかった。
本軍兵士たちが、各所を走っている。
封鎖。
閲覧権限。
内部調査。
どう考えても、普通じゃない。
「……シュトック」
リシェルの声。
隣を見る。
まだ少し、不安そうな顔をしていた。
「大丈夫?」
「……まぁ、なんとか」
正直。
全然なんとかなんかじゃない。
脇腹は痛ぇし。
頭も重い。
情報量が多すぎる。
フィナも、まだ俺の服を掴んだままだった。
セレーナが、小さく息を吐く。
「今日は、もう休ませた方がいいんじゃない?」
珍しく。
少しだけ、俺を気遣うみたいな声だった。
その時。
「エイゼンシュタイン」
低い声。
ケッヒル大佐だった。
振り返る。
鋭い目が、こちらを見ている。
「しばらく、お前には本軍宿舎側で待機してもらう」
「いいか。単独行動は禁止だ」
「えぇ……」
思わず声が漏れる。
4、5日前まで見習いだった俺が、本軍宿舎って……。
グリードまで、ちょっと引いていた。
「お前、完全に巻き込まれてんな……」
ほんとそれ。
アルスが、面白がるでもなく呟く。
「その方が安全だろうねぇ」
「今の状況なら」
笑えない。
その時だった。
遠くから。
慌ただしい足音が響く。
本軍兵士が、一人。
こちらへ駆けてきた。
息が荒い。
「ケッヒル大佐!」
全員の空気が変わる。
兵士が、息を整える。
そして。
「南門外の封鎖区域で――」
喉が鳴る。
兵士が、顔を強張らせたまま続けた。
「巡回兵二名が、行方不明です」
ここまで読んでいただきありがとうございます!
少しでも面白いと思っていただけたら、
・ブックマーク
・評価(☆☆☆☆☆)
・感想
などいただけるととても励みになります!
今後も更新していくので、よろしくお願いします!




