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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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聖潮国

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

兵士の報告を聞いた瞬間。


その場の空気が、凍りついた。



ケッヒル大佐の目が細くなる。


「……封鎖区域内で、か」



「は、はい。最後の巡回報告から、およそ二十分後に連絡が途絶え――」


兵士の声が、わずかに震えていた。



クレイスが、静かに口を開く。


「遺体は」



「……確認されておりません」



その言葉に。


逆に、全員の顔色が変わった。



兵が見つからない。



それが意味するものを、この場の誰もが理解していた。



リシェルの指が俺の指の間へ滑り込む。


不安な表情で、その手にぎゅっと力がこもった。



フィナも、小さく息を呑みながら、俺の袖を掴む手に力を込めていた。



ケッヒル大佐は、数秒だけ黙り込む。



やがて。


「――封鎖を拡大しろ」


低い声だった。



「南門外周辺の巡回班を倍に増やせ」


「単独行動は禁止。必ず四人一組で動け」



「はっ!」


兵士が駆け去っていく。



重苦しい沈黙だけが残った。



その沈黙を破ったのは、クレイスだった。


「……エイゼンシュタイン」


銀のレンズ越しの視線が、こちらへ向く。


「君には、もう少し話を聞かせてもらう必要がありそうです」



「……え?」



「王城内へ移動します」


さらっと言った。



いやいやいや。


もう寝てたいんですけど。



「ちょ、ちょっと待――」



「安心してください。ただの確認です」


銀のレンズだけが、静かにこちらを向いていた。



全然安心じゃねぇし。




王城内の一室。


ヴァルクレイン国軍の応接室らしい。


さすがに地下記録庫ほどじゃないが、やっぱり空気が重い。


俺は、超豪華な長椅子に座らされていた。



……なんで北部出身のこの間まで見習いだった俺が、こんな場所に。



しかも。


リシェルが、まだ手を離してくれない。


さらにフィナも、まだ俺の袖を掴んでいた。



「フィナ……」


向かいでは、セレーナが少し困った顔をする。



フィナは、小さく首を振った。


「……ここにいる」


離れる気ゼロだった。



リシェルが、ちょっとだけフィナを見る。


なーんか、微妙に対抗してない?


いやいや。


なんで?



クレイスは、そんな俺たちを気にした様子もなく、机の上へ資料を並べていた。


銀のレンズが、静かに光る。



「改めて確認します」


「エイゼンシュタイン」


「君が最初に“白い存在”を視認したのは、王城内門の襲撃後ですね」



「あ、はい」



クレイスが、淡々と記録を書き込んでいく。


「白甲冑の兵と交戦」


「脇腹を負傷」


「以降、“視認”が始まった」



レオンが、腕を組む。


「偶然とは思えんな」



偶然じゃないって言われてもな。


一体なんなんだか……。



その時。


扉が開いた。



ケッヒル大佐だった。


その手には、数冊の古い資料。



クレイスが視線を向ける。


「地下区画の追加記録ですか」



「旧王国末期の手記だ」


低い声。



ケッヒル大佐が、机へ資料を置く。



古びた革表紙。


妙な文字が並んでいた。



クレイスが、静かにページを開く。


紙をめくる音だけが響く。



やがて。


銀のレンズが、わずかに細められた。



「……これは」



レオンが聞く。


「何だ」



クレイスが、ゆっくり読み上げる。


「“南海より来たる白潮の軍勢”」


「“アルヴェリア聖潮国”――」



聞いたこともない国名だった。



ミオが、小さく呟く。


「聖潮国……?」



クレイスが説明する。


「旧王国時代、大陸南方海域に存在した宗教国家です」


「現在は滅亡したとされている国です」



アルスが、目を細める。


「“されている”?」



クレイスは、静かに続きを読んだ。


「“白甲冑の兵は、死してなお王を探す”」



部屋の空気が、わずかに張る。



フィナが、ぎゅっと俺の袖を掴んだ。



……気味が悪い。


もうやめてくれ。


嫌な予感しかしねぇ。



その時だった。


クレイスの指が、ある一文で止まる。



銀のレンズが、静かに細められた。


「……大佐」



ケッヒル大佐が、低く答える。


「読め」



クレイスは、ゆっくりその一文を読み上げた。


「“白潮の兵は、王族の血に従う”」



背筋がぞわりとした。



レオンの表情が変わった。


「白甲冑、あれを見た時、俺はなぜか近衛精鋭だと思った」


「旧王国の亡霊どもか」



フィナが俺の手を強く握ってきた。


セレーナも、息を呑む。



リシェルだけは。


何も言わず、不安そうに俺の手を握ったままだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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今後も更新していくので、よろしくお願いします!

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