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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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視線

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

風が吹く。



白い影の裾だけが、ゆらりと揺れた。


外壁の上。


そこに、確かに立っている。



なのに。


見えているのは、俺とフィナだけ。



喉が嫌に乾く。



クレイスの視線が、まっすぐこちらへ向いていた。


「どう見えている」


静かな声。



「……白い影です」


「人っぽい」


「でも、輪郭が変で」


「ぼやけるっていうか……」



言葉にしてるのに。


自分でもよく分からない。



ちゃんと見ようとすると。


ブレる。



気持ち悪ぃ。



フィナの手に、力が入る。



「まだ、います……」


怯えた声だった。



セレーナが、妹の肩を抱く。



「フィナ」


「また、何か見えているの?」


低い声。



その目には、隠しきれない緊張があった。



フィナが、小さく頷く。


「……嫌な感じがするの」



リシェルが、不安そうに俺を見る。


「シュトック」


「顔色、悪いよ……?」



そりゃまぁ。


あんなの見えたら。



その時だった。



「……っ、動いた」


思わず呟く。



白い影が。


ゆっくり腕を上げた。



指差している。


まっすぐ。


こっちを。



いや。


俺を。



ぞわり。


背筋が粟立つ。



「っ……」


息が止まりかける。



アルスが眉をひそめた。


「お前ら、何を見てる?」



見えてない。


この人にも。



グリードが、大剣の柄を握る。


「おい、なんかいるのかよ」



目の前にいるだろ。


なんで見えないんだよ。



レオンが、低く呟く。


「……空気が変だ」



シンだけが、目を細めていた。


「気配が近い」


声が低い。



クレイスが静かに口を開く。


「全員、警戒を維持」


「不用意に動くな」



ケッヒル大佐の目が、鋭く周囲を探る。


「前面、臨戦態勢に」


戦場の空気だった。



その瞬間。



白い影が。


ゆっくり首を傾げた。



まるで。


俺を観察しているみたいだった。


笑っているようにも見える。



ぞくりとした。


傷が痛む。


吐き気がする。



リシェルが俺を覗き込む。


「シュトック、大丈夫?」


俺の手を握り、回復の光を放つ。



次の瞬間。



すうっと。


輪郭が薄れる。




消えた。




風だけが残る。



誰も動かない。



「……消えました」


フィナが、小さく呟く。



クレイスの目が、細くなる。



「記録と一致する」


低い声だった。



レオンが振り返る。


「記録?」



クレイスは、少しだけ黙った。



その横で。


フィナが、まだ俺の服を掴んでいる。


震えてる。



……俺もだ。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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