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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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見えている者

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

風が、妙に冷たかった。


南門外。



壊れた荷車。


砕けた石畳。


乾ききっていない血痕。



でも。


死体だけが、ない。



「……不自然ですね」


東嶺の双剣使い――フィオが、小さく呟いた。



その隣で。


ルーも周囲を見渡している。



シンだけは黙ったままだ。


空気を探るみたいに、目を細めている。



「これだけ戦って、何も残ってねぇのかよ……」


グリードが眉をひそめた。



レオンも険しい顔をしている。



本軍兵士たちが周囲を封鎖していた。



その中心。


クレイスが、地面を調べている。



片目の銀レンズが、鈍く光った。



「この戦闘規模に対して、痕跡が少なすぎる」


淡々とした声。


「回収された可能性が高い」



「誰が?」


ミオが、不安そうに呟く。



クレイスは答えない。


代わりに。


ケッヒル大佐が、低く口を開いた。



「まだ終わっていない」



短い言葉だった。


だけど。


その場の空気が、静かに変わった。



……やっぱ、この人すげぇな。




その時だった。



ぞくり。


背筋に、嫌な感覚が走る。


反射的に、顔を上げた。



外壁の上。


白い何かが立っていた。


細い。


人影。



風もないのに。


白い布みたいなものが揺れている。



こちらを見ていた。



心臓が跳ねる。




――いる。




間違いない。



「……っ」



思わず足を止めた。



「シュトック?」


リシェルの声。



でも。


視線を外せない。


白い影が、ゆっくり首を傾げる。



その瞬間。



「……シュトック」


小さな声。



隣を見る。


フィナだった。



青い顔で、外壁を見上げている。


小さな手が、ぎゅっと俺の服を掴んでいた。



隣で、リシェルが小さく目を細めた気がした。



フィナの手が震えてる。


「……まだ、います」



「フィナ?」


セレーナが、妹を見る。



フィナは、かすれた声で呟いた。


「……います」



空気が止まった。



レオンが振り返る。



クレイスの目が細くなる。


「どこです?」


低い声。



でも。


見えていない。



アルスも。


グリードも。


ミオも。



誰も。


白い影を見ていない。



喉が乾く。



おいおいおいおい。


なんなんだよ、これ。



その時。


シンが、小さく呟いた。


「……妙だな」



東の剣士の目が、細くなる。


「気配だけ、ある」



クレイスがゆっくり立ち上がった。


銀のレンズが、こちらへ向く。


「エイゼンシュタイン」


「君には、見えているのか?」



空気が重い。



全員の視線が集まる。



白い影は。


まだ、そこに立っていた。

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