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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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南門外

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

重い角笛が、王都へ響いていた。



ボオォォォ――。



低い。


腹に響く音。



王宮の廊下を抜けながら、思わず周囲を見る。



兵士。


伝令。


担架。



王都全体が、慌ただしく動いていた。



本軍が戻ってきた。


たったそれだけで。


空気そのものが変わっている。



「急げ!」


「南門外だ!!」



怒声が飛ぶ。


鉄の音。


馬の嘶き。



……なんか、急に世界が騒がしくなったな。



脇腹が少し痛む。



リシェルが、すぐ横を歩いていた。


ちらちらこっちを見てくる。



「……本当に大丈夫なの?」



「だいじょ――」


痛ぇ。



「……たぶん」



「全然大丈夫じゃないから!!」


声が響く。



前を歩いていたアルスが、肩を揺らした。


笑ってる。



なんなんだよ。



その隣。


クレイスは無言だった。



片目の銀のレンズ越しに、周囲を観察している。


視線が鋭い。



歩いてるだけなのに。


なんか圧が半端ねぇ。



ケッヒル隊…、いや、大佐が前を歩く。


灰銀の髪。


広い背中。


誰も無駄口を叩かない。


本軍兵士たちが、自然と道を空けていく。



……やっぱ、この人すげぇな。



その時だった。



「シュトックー!!」


小さな声。



振り向く。



白い少女が、こちらへ駆けてきていた。


プラチナブロンドの髪が揺れる。



フィナだった。



「フィナ?」



「お身体は大丈夫ですか!?」


勢いのまま、ぎゅっと服を掴まれる。



近い近い。



「いや、まあ……死んではない」



「よかったです……」


本気で安心した顔だった。



その後ろ。



セレーナが静かに歩いてくる。


長い銀髪。


冷たい美貌。


相変わらず、近寄りがたい。



「フィナ」


「走らないで」



「でも、お姉様……!」



セレーナの視線が、こちらへ向く。


真っ直ぐ。


探るみたいな目だった。



なんなんだ。


この姉妹。



「……エイゼンシュタイン」


「まだ安静にしているべきでは?」



「俺もそう思います」


即答した。



アルスが吹き出す。



ミオまで笑ってる。



リシェルだけが真顔だった。


俺の目を真っ直ぐ見据えて言う。



「本当にそうです!!」



なーんか、一番怖ぇ。




王宮を抜ける。



外気が、頬を打った。



南門方面。



空が、妙に暗い。



兵士たちが慌ただしく動いている。



避難民の列。


泣いている子供。



その光景を見た瞬間。



胸の奥が、少しだけ重くなる。




……姉ちゃんたち、今どうしてんだろ。




ふと、そんなことを思った。



強くなれば。


見つけられると思っていた。



でも。



でも、世界は思っていたより、ずっと広い。



はぁ。



頑張んねえとな。




その時。



ケッヒルが足を止めた。



「ここから先は、本軍管理区域だ」


低い声。



南門外が見える。



石畳。


壊れた荷車。



血痕。


……少ない。


少なすぎる。


あれだけ戦ったのに。



白い鎧も。


死体も。



何もない。



空気が冷える。



クレイスが、静かにしゃがみ込んだ。


指で地面をなぞる。



「……妙だな」



アルスも目を細める。


さっきまでの軽い空気が、完全に消えていた。



「血の量が合わない」



クレイスが低く呟く。



「まるで――」




その瞬間だった。




ぞくりとした。




誰かに見られている。


反射的に、顔を上げる。



南門の外壁。


遠く。



白い何かが立っていた気がした。


細い影。



こちらを見ている。



瞬きをする。



消えた?



背筋が冷える。



……まただ。



おいおいおいおい。



今の。


なんだったんだ。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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今後も更新していくので、よろしくお願いします!

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