降臨
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――ドォンッ!!
王城内門の巨大な扉が、内側から震えた。
敵も、味方も、動きを止める。
黒外套の男だけが、静かに目を細めていた。
もう一度。
――ドォンッ!!
鉄の閂が軋む。
兵たちの喉が鳴る。
「……何だ」
誰かが呟いた。
三度目。
――ドォンッ!!!!
轟音。
扉が、外側へ弾け飛ぶ。
砕けた鉄片と木片が雨のように舞った。
煙が上がる。
白い埃の向こう。
一つの影が立っている。
でかい。
それだけで、わかる。
いや。
大きさだけじゃない。
そこに立っただけで、広場の空気が重くなった。
「……は」
グリードが、笑いかけて止まる。
リシェルが息を呑む。
レオンは無言のまま、わずかに口角を上げた。
シンだけが、前を見たまま動かない。
影が、一歩出る。
石畳が沈む。
また一歩。
敵兵が、無意識に下がる。
誰も命じていない。
それでも、道が開いた。
煙が晴れる。
カイゼルだった。
肩幅の広い巨躯。
傷だらけの外套。
片手に握られた大剣。
そして。
何より。
面倒そうな顔。
「……遅えっすよ」
思わず口から出た。
カイゼルは、ちらりとこっちを見る。
「うるさい」
低い声だった。
それだけ。
次の瞬間。
黒装束の一人が叫びながら飛び込む。
速い。
かなり強い。
だが。
カイゼルは見ていなかった。
片手で剣を振るう。
ブォンッ――!!
風が鳴る。
敵兵の身体が、まとめて吹き飛んだ。
後ろの三人ごと、壁へ叩きつけられる。
広場が静まり返る。
「……なんだよ、それ」
グリードの声が震えていた。
黒外套の男が、初めて剣を正面に構える。
笑っていない。
「ようやく現れたか」
カイゼルは肩を鳴らす。
「雑魚が多すぎる」
その一言で、敵兵たちの顔色が変わる。
ケッヒル隊長が、わずかに息を吐いた。
「遅い」
「来ただけ感謝しろ」
初めて。
隊長の口元が、少しだけ動く。
笑ったのかもしれない。
レオンが剣を上げる。
「前線、押し返す!」
兵たちの声が戻る。
グリードが吠える。
「行くぞォ!!」
シンが、黒外套へ踏み込む。
今度は、一人じゃない。
その横を、カイゼルが通る。
地面が鳴る。
俺の胸も鳴る。
熱い。
これだ。
こういうのだ。
剣を握る。
「……やるか」
踏み込む。
戦場の流れが、変わった。
だが。
黒外套の男は、まだ笑っていた。
「面白い」
その背後。
開いた門の奥。
暗い回廊の先に、さらに人影が現れる。
一人じゃない。
十。
二十。
まだ続く。
「……は?」
息が止まる。
カイゼルが、初めて奥を見る。
「……めんどくせえな」
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