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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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変調

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

ギィンッ――!!



火花が散る。



シンの剣と、黒外套の刃が噛み合っていた。



石畳にひびが走る。



押し合っている。



だが。



わずかに。



シンが下がる。



「……っ」



初めて、あいつの足が乱れた。



黒外套の男は笑っている。



「良い」


「だが、まだ浅い」



弾く。



シンの身体が半歩流れる。



そこへ、追撃。



速い。



ギィンッ!!



横から割って入ったのは、ケッヒル隊長だった。



低く、鋭い一閃。



黒外套の男が初めて距離を取る。



「ほう」



笑みが深くなる。



「ようやく本物か」



隊長は答えない。



ただ、前へ出る。



その背中だけで、兵たちが息を吹き返した。



「押し返せ!!」



叫びが上がる。



右列が前へ出る。


中央も続く。



だが。



その時だった。



――ゴォンッ!!


――ゴォンッ!!


――ゴォンッ!!



鐘が、三度鳴った。



さっきまでとは違う。



短く、鋭く、続けざまに。



兵たちの顔色が変わる。



レオンの目が細まる。



「……第二警報か」



グリードが吐き捨てる。



「なんだそりゃ」



「内門だけではない」



レオンの声は低い。



「さらに奥で、何か起きた」



嫌な汗が背中を伝う。



まだ、あるのかよ。



その隙を、敵は逃さない。



左右の黒装束が一斉に入る。



兵列が乱れる。



一人、倒れる。


二人、崩れる。



「中央、下がるな!」



レオンが叫ぶ。



その横で、グリードが受ける。



重い一撃。



膝が沈む。



「っ、ぐ……!」



リシェルが治癒へ走る。



そこへ敵が抜ける。



「危ねえ!」



踏み込む。



間に合わない。



敵の刃が、リシェルへ伸びる。



ギィンッ!!



シンの剣が割って入る。



だが。



そのシンの背へ、黒外套が迫る。



「シン!!」



ケッヒル隊長が動く。



敵二人が足止めに入る。



隊長でも、一瞬止まる。



黒外套の剣が振り下ろされる。



間に合わない。



誰もがそう思った。



その瞬間。



――ドォン。



低い音がした。



剣戟ではない。



もっと重い。



建物の奥。


石壁の向こう。



全員の動きが、わずかに止まる。



黒外套の男だけが、眉を動かした。



もう一度。



――ドォン。



今度は近い。



床の砂が跳ねる。



兵たちが顔を見合わせる。



「……何だ?」



誰かが呟く。



三度目。



――ドォンッ!!



内門の巨大な扉が、軋んだ。



敵も、味方も、振り向く。



黒外套の笑みが消えていた。



シンが剣を下げずに目だけ向ける。



ケッヒル隊長の視線が細くなる。



誰も、まだ見えていない。



だが。



何かが来る。



それだけは、わかった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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