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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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格上

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


押し上がった前線が、止まる。



「……は?」



さっきまで押していた兵が、弾かれる。



一人。


前に出てきた。



重装でもない。


大柄でもない。



黒い外套。


細い剣。



ただ、立っているだけなのに。



空気が、違う。



「下がれ!」


レオンの声。



兵が引く。


遅い。



スッ――



見えなかった。



次の瞬間。


三人、同時に崩れる。



「……なんだよ、それ」


グリードが顔をしかめる。


初めてだ。



「格上だな」


レオンが短く言う。


その声も、低い。



シンが前に出る。


無言。


黒外套の男を見る。



「知ってる顔か?」


思わず出る。



シンは答えない。


ただ。


剣を構える。



ルー・シャウが舌打ちする。


「最悪ね」



フィオの笑みが消える。


「来るとは思いませんでした」



……誰だよ。



聞く前に、動いた。



黒外套。


速い。



いや。



速さじゃない。


無駄がない。



ギィンッ!!



シンが受ける。



初めて。


シンが、押された。



「……マジか」



地面が裂ける。



ルー・シャウが横から入る。



斬る。



浅い。


流される。



フィオの双剣。



二連。


三連。



全部、届かない。



「冗談だろ」


グリードが笑う。


乾いた笑いだ。



「おい、エイゼン」


レオンが言う。



目は前。



「見ろ」


短い。



「……何を」



「全部だ」



無茶言うな。



でも。



見る。


足運び。


呼吸。


目線。


力の入る瞬間。


剣先の沈み。



「……っ」



わかるか、こんなの。



黒外套がシンを崩す。



そこへ。


俺が入る。


踏み込む。


ズラす。



「――フィネア!!」



ザンッ――!!



弾かれる。


軽く。



終わりかける。


その瞬間。



見えた。



右足。


ほんのわずか。


踏み直した。



「……そこか」


口から漏れる。



もう一度、踏み込む。



今度は深く行かない。


浅く。


触れるだけ。



ギィンッ。



反応した。


やっぱりだ。



「シン!!」


初めて叫ぶ。



シンが動く。


同時。



俺が外から崩す。



シンが正面から割る。



ドォンッ!!



初めて。


黒外套が、一歩下がった。



空気が変わる。



「……おいおい」


グリードが笑う。


「やれるじゃねえか」



レオンの口元が、わずかに上がる。


「見えたな」


短い。



……ああ。



全部じゃない。


でも。


一つは、見えた。



黒外套が初めて、こっちを見る。



「面白い」


低い声。


初めて喋った。



背筋が、冷える。



その時。



王城側から、鐘が鳴る。



ゴォン――



重い音。



兵の顔色が変わる。



レオンが振り向く。


「……やはりか」



何がだよ。



次の瞬間。



伝令が駆け込んでくる。


「報告!!」


「敵、本隊――王城内門へ!!」



空気が凍る。



黒外套が笑う。


「遅い」



レオンが剣を返す。


「全員、走るぞ」



シンがもう動いている。



「……はぁ」


息を吐く。



めんどくせえ。



でも。



止まれない。


足を踏み出す。


次は、城の中だ。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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