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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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王城内門

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

石畳を蹴る。



王城へ続く坂道を、一気に駆け上がる。



振り返れば、外門の向こうに煙が上がっていた。


怒号と金属音が、まだ遠く響いている。



それでも。



ここは別世界だった。



白い城壁。


高くそびえる塔。


磨かれた窓に、曇った空が映る。



王族の住む城。



その静けさを、今まさに誰かが踏み荒らそうとしていた。



「遅れるな」



レオンが前を走る。


銀髪が揺れ、その背中に迷いはない。



シンは、さらに先。


もう姿が小さい。



速すぎるだろ。



「……めんどくせえ」



息が上がる。



それでも、足は止まらない。



やっと見えてきた。



王城内門。



厚い鉄扉。


左右にそびえる白柱。


その前の石段に――



兵が倒れていた。



鎧は歪み、槍は転がり、誰も立てない。



だが、まだ息はある。



「医務班!」



リシェルが飛び出す。



金色の髪を揺らし、迷わず膝をつく。



その手に、淡い光が灯る。



俺たちはその横を抜けた。



門前。



三人の黒装束が、半円を描くように一人の男を囲んでいた。



誰も踏み込まない。


誰も下がらない。



均等な間合い。



全員、場数が違う。



その中心。



ケッヒル隊長が立っていた。



外套を羽織ったまま。


剣だけを抜き、肩の高さにも上げていない。



ただ、それだけで。



黒装束たちの足が止まっていた。



「……隊長」



思わず声が漏れる。



次の瞬間。



三人が同時に動く。



左右。


正面。



速い。



だが――



ギィンッ――!!



音は、一度だけだった。



左の男が膝をつく。



正面の剣が、石畳を滑って飛ぶ。



右の首元に、隊長の刃が触れていた。



「……は?」



見えなかった。



グリードが言葉を失う。



レオンだけが、目を細める。



ケッヒル隊長は剣を払った。



刃先から落ちた雫が、白い石に散る。



「遅い」



低い声だった。



俺たちに向けてだ。



「申し訳ありません」



レオンが即座に頭を下げる。



貴族のくせに素直かよ。



「状況は」



隊長は短く答えた。



「陽動だ」



やっぱりか。



「外で兵を割かせ、本命が中へ入った」



門の向こう。



鈍い衝撃音が響く。



ドォンッ……!



まだ中にいる。



シンが隊長の横に立つ。



言葉はない。



それでも、二人の空気は噛み合っていた。



ルー・シャウが小さく舌打ちする。



「面倒なのが増えたわね」



フィオは笑っていない。



「ええ。かなり」



その時だった。



回廊の上。



白壁の影から、五つの人影が落ちてくる。



音もなく、着地する。



黒装束。



だが、さっきの三人とは違う。



姿勢が低い。


呼吸が乱れない。


全員、迷いがない。



強い。



見ただけでわかる。



中央の一人が面を外した。



若い顔だった。



だが、その目だけが古い。



「間に合ったか」



その背後。



ゆっくり歩いてくる男がいる。



黒外套。



外門でシンを押した男だった。



「……マジかよ」



グリードが乾いた笑いを漏らす。



外も中も、こいつらか。



囲まれた。



王城内門前。



逃げ場はない。



レオンが剣を抜く。



カイゼルはいない。


ここにはいない。



それでも。



誰一人、下がらなかった。



ケッヒル隊長が一歩前に出る。



白い石畳に、靴音が一つ響く。



「ここから先は」



低く。



静かな声。



「通さん」



鐘が鳴る。



ゴォン――



王城全体を震わせる音だった。



息を吐く。



めんどくせえ。



でも。



少しだけ、笑う。



本物ってやつは。



こういう場所にいるらしい。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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